日本(紙ジャケット仕様)
2,571円
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同年4月5日に発表した 『無限軌道』 に引き続いての
チューリップ通算6作目のオリジナル・アルバム。
およそレコードジャケットらしからぬ、
でも 強烈なインパクトを与えたデザインだと思います。
白いお皿の中央に赤の梅干しは、
きっと国旗をあらわしているのだな、と思います。
シングルAB面の曲の収録は無しの
全11曲の収録です。
アルバム全体の雰囲気として
職人くささというか、いぶし銀のような、印象をもたらす作品群です。
A面
せめて最終電車まで 俺
ぼくのお話 わし / 僕
木馬 僕
タイピスト 俺
あいつのどこがいいんだ 俺
あのバスを停めて! 僕
B面
あこがれ・花の東京 俺
届かぬ夢 僕
都会 僕
そんなとき君がいれば 僕
甲子園 僕
…うち4曲が、たった4曲とも言えますが、
「 俺 」が主人公の歌になっています。
たったそれだけのことではあるのですが
作風の幅を拡げる効果が
十分に働いていると思います。
それまでのチューリップの印象・カラー・らしさというと、
シングル「夏色のおもいで」(詞はなんと松本隆大先生!しかも松本氏の記念すべき作詞家デビュー作です) に出てくるような「ぼく」のイメージが強かった、
そう認知されていたのではないかと思います。
自分のことを「僕」というか「俺」というかは
結構な違いを孕んでいると思うんです。
どちらでもいい、たいしたことじゃない、
…とも言えそうですが…
意味があると思うのです。
作詞:上田雅利 作曲:吉田彰 のリズム隊による楽曲「タイピスト」
上田さんの迫力あるボーカルが気持ちいいこの曲が好きです。
楽屋の中の古い机 や
駅前の赤い電話 や
街角の青いポスト → 全国に35箇所しかない速達専用のポストを指しています
… を主人公にして、人々をあたたかく見つめた
財津さん作品「ぼくのお話」
安部さんの作詞&姫野さん作曲による「木馬」
この2曲は擬人的童話作品。
親しみやすいメロディで
優しさが滲み出てくる佳曲です。
作詞:安部俊幸 作曲:姫野達也
45周年ライブ “ it remembers ” でも披露され
会場がノリノリに盛り上がった
「あのバスを停めて!」
上京した若者の悲哀を自虐的に歌った
「あこがれ・花の東京」
「あこがれ・花の東京」に続く
「届かぬ夢」「都会」 の2曲の
胸に重しが乗りかかってしまう悲しみ。
「都会」における
財津さんの絞り出すようなボーカルは
最大の聴きどころです。
最後に収録された
チューリップ5人による共作、
演奏時間10分を越える組曲
「甲子園」。
初出場を決めた主人公の高揚と
待ち受ける悲運が歌われています。
演奏の最後には
この曲、このアルバムをなぞらえるように
「君が代」で締めくくられ
胸にドスンと重みが刻まれ
とても印象的です。
この「甲子園」のように
このアルバムは全体的に物語性に溢れた
詩の世界が展開されていると思います。
※前回はアルバム『 Jack is a boy 』について触れました。
なんだか、まるで違うバンドについて書いているような気分です。
財津さん以外メンバーが違うというのも影響しているとは思いますが。。。
年齢的には若かった
この頃の財津さんのほうが、熟成・成熟している感じです。
財津さんの快復、復活を心より祈っています。