チューリップ通算3作目のオリジナル・アルバム。

 

※前年6月5日発表の『 TULIP BEST 』は

「僕のお嫁さん」「道化者」「二人で山へ行こう」「風よ」の

4曲の新曲が収録されていますが、アルバム・タイトル通りにベストと考えます。

※※「二人で山へ行こう」は35周年のツアー“ run ” で

アンコール大ラスだと誰もが思った「魔法の黄色い靴」に続けて演奏され嬉しい驚きでした。

※※※ちなみに『 TULIP BEST 』に収録されている「魔法の黄色い靴」は

ピアノの伴奏が追加されていて、ぼくは、オリジナルよりもこのヴァージョンが好きです。

 

 

 

チューリップ史上どんな時期だったかというと…

 

73年4月20日「 心の旅 / 夢中さ君に 」

      10月5日「 夏色のおもいで / しっぽの丸い子犬 」

74年1月20日「 銀の指環 /セプテンバー 」

 

 …とシングルを発表したあとでのオリジナル・アルバム発表でした。

 

またライブ・アルバム『 LIVE ACT TULIP 』 を73年12月1日に発表していました。

このアルバムを聴くと「心の旅」のヒットを受けて

人気絶頂期で、

女の子の黄色い声援を受けまくっていたことがうかがえます。

※45thツアーでは財津さんはMCで、年を重ねた客席に向かって

「茶色い声援ありがとうございます」とおっしゃってました(場内笑)

 

その勢いに、熱狂に応えるように、

『 TAKE OFF - 離陸 』と

同年10月5日発表の『 ぼくがつくった愛のうた 』は、

修学旅行中のバスの中のような

ワイワイとした楽しさ・賑やかさに満ち溢れていたように思います。

 

ただし、ともに終盤の曲は

明るいながらも、

じ~んと励まし勇気づけてくれる曲で締めくくられています。

 

アルバム『 TAKE OFF - 離陸 』は

シングル・レコードからは

B面扱いの佳曲「セプテンバー」のみの収録となっています。

 

シングルに頼らず、しっかりとアルバム制作に取り組み成功していた

チューリップの矜持と自信と目指したところが伝わってきます。

 

のちに録音し直しシングルカットした「青春の影」も

当初はこのアルバムの中の一曲であり

『 TAKE OFF - 離陸 』の充実度を物語っています。

 

 

 

演奏時間、なんと0分37秒の英語詞の表題作

「 TAKE OFF 」でこのアルバムはスピード感をもってスタートします。

 

そして「TAKE OFF」から間髪入れず

ライヴでこそ映える

作詞安部さん&作曲姫野さん作品の「明日の風」と続き、

アコースティックな「そんな時」へと

一気にアルバムの世界へ誘い

ぐいぐいと引き込んでくれます。

 

 

このアルバムには全14曲が収録されていますが

総演奏時間はおよそ35分です。

あっという間に聴き終わります。

ですが、非常に聴きごたえがあります。

起承転結・喜怒哀楽が鮮やかに表現されていると思います。

 

きっと胸に響くと思います。

 

おしまいまでの5曲は、

じっくりと聴かせ

胸にじわっと染み入る佳曲が続きます。

「青春の影」

「愛は不思議なもの」

〈組曲〉

「悲しみはいつも」

~「ぼくは陽気なのんきもの」

~「笑顔をみせて」

 

 

解散を決めた1989年のファイナル・ツアー Well で

財津さんは、

「 チューリップはどんなバンドだったか…

ついステージが始まる前まで考えていたんですけど、

… … 結局答えは出ませんでした。

ただ、、音楽が好きで一生懸命にやってきました。

ステージに人がたくさん集まってくれるようになって

無我夢中でやってきたと…

…そういうところじゃないかと思います…」

とおっしゃってました。

 

その原点をこのアルバムに見出すことが出来ると思います。

 

 

最後の楽曲「笑顔をみせて」で

♪あなたの心に 夢を 届けよう

…と繰り返し歌われます。

 

このアルバムを聴いたのは

発表当時のリアルタイムではなく

かなり後になってからですけど、

時を越えて

しっかりと 心に届きました。届いています。

 

 

チューリップは再結成するまでに

メンバーチェンジをしながら17年というキャリアがあります。

 

ある時期と別の時期をランダムに切り取ると

同じグループ、バンドなのかと思えるくらい変化・変遷を経てます。

 

17年の長きに渡って、そして結成45年に及んで

一定のファンや

その時期その時期の不特定の人々に、

支持されるように成り得ています。

 

アルバム『 TAKE OFF - 離陸』は、

その萌芽を垣間見ることができます。

 

 

 

 

 

 

財津さんの快復、復活を心より祈っています。