◆僕が最初に買った[CD]は、中島みゆきさんのライヴアルバム『歌暦』だ。※1987年作品。
そして“新作”として最後に買った[レコード]も中島みゆきさんで『中島みゆき』というタイトルのアルバムだ。※1988年作品。
この1987~1988年あたりというのは、音楽市場がレコードからCDへ移り始めた頃だ。
88年の作品『中島みゆき』は、まだレコードで買えたが、『歌暦』はCDのみの発売だったため、CDプレーヤーも買い揃えるきっかけになった作品である。
ここまでは前置きで。。。
◆ ライヴCD『歌暦』の一曲目は「片想'86」(収録は86年、発売が87年ということです)。
“ 片想い(片思い)をテーマにした歌・名曲”は、古今東西それこそ山のようにあるが、、、
そこはさすがみゆきさん。 そんじょそこらの仕上がり・様相にはなっていない。
“ 目を覚ませ早く、甘い夢から ”
…とこのライヴでは、イントロなしで、あのよく通る声で唄い始める。
“ 浮かれているのはお前だけ ”
…そうなのだ。みゆきさんの「片想」は、片想いを“されている・受けている側の気持ち”を、
しかも…きれいごと・思いやり・婉曲なんぞ 1ミリたりともなく、声を張り上げ心の中の本音を唄い綴っている。
“ 一度やそこらの優しさで、つけあがられるのは とても 迷惑なんだ ”
…とまで言い放つ(オリジナルは1979年作品『親愛なる者へ』に収録されている)。
これはしびれた。強烈すぎる。 ぜひ『歌暦』の「片想'86」を聴いたことがない人は聴いてください。 中島みゆきさんならではの潔さ、説得力が感じられると思います。
また前世をテーマに唄った壮大な世界観の『HALF』、みゆきさんロックの『最悪』『F.O.』『見返り美人』『やまねこ』(いずれも1986年発表のアルバム『36.5℃』収録)も聴きごたえ十分の圧巻の・圧倒される名演です
ライヴはやっぱりいいな~と思わせてくれる、みゆきさん節炸裂の名盤です。
またサウンド的にもロック色を前面に押し出していて、名曲「ファイト!」が収録されている『予感』(1983年作品)から比べると、音作りにおいて当時のみゆきさんフリークには、多少の戸惑いもあったんじゃないかな~とも思える転換期だったと思います。※ぼくは戸惑いました。
◆そんな音楽市場の変化や、音作りの転換期を経た後の作品、 『中島みゆき』のラストの曲「ローリング」が、みゆきさんの曲では一番聴いているものとなっています、ぼくは。
歌詞が胸に染みる。いいんですよ、これが。
…「ローリング」では、
“ さみしさを 人に言うな、軽く軽く 傷ついてゆけ ”
…と語りかけてきてくれる。もう何百回聴いたか分からないくらいこの曲は好きだ。
◆あともう一曲。2007年のアルバム表題曲「I Love You, 答えてくれ」。
この曲も「片想'86」同様イントロなしで、更に、もっともっとこぶしをきかせて叫び始める曲だ。
今度は想いを寄せる側のストレートな一途さを唄い上げている。
“ I Love You ,答えてくれ ”
- I love you, do you hear me?
“ 何か返してもらうため 君に愛を贈るわけじゃない ”
- I'm not giving you my love because I want something back in return
“ 君はひどい目に遭いすぎて 疑い深くなってしまった ”
- Going through so many painful experiences has left you deeply suspicious
“ 気にしないで受けとればいいんだよ ”
- You should just it without worrying about it
“ 受けとったと答えて欲しいだけさ ”
- I just wnat you to say you've accepted it
※浜省さんのライナーノーツでもよく見かけるが、このアルバムは英訳もついていて、ちょっと英語の勉強もできる。
「片想'86」で迷惑がった男子が、およそ20年後に今度は女性に向かって、
“ I love you 答えてくれ ” と迫る側になったのか… …
はたまた、あるいは「片想'86」で傷つけられ迷惑がられた女の子が、大人の女性になるまでにと時を経て、 一途な男性から想いを向けられるまでに生き抜いてきたのかと想像すると、ぼくは、にんまりしてしまうのである。
なんとなくなんですが、「片想'86」の “ 目を覚ませ 早く 甘い夢から ” のメロディと、
“ I love you, 答えてくれ ” の メロディ に似たものを感じ取れるんですよね。※あくまで個人の感想ですが。
◆…ということで、「ファイト!」や「糸」のほかに、ぼくの好きな曲の紹介でした。
他には、「たかが愛」「シュガー」「ぼくたちの将来」「風にならないか」「夢だったんだね」「誰のせいでもない雨が」「テキーラを飲みほして」「野ウサギのように」「北の国の習い」「with」「BA-NA-NA」あたりを、みゆきさんではよくヘビロテします。
☆彡 ここまでご一読いただきまして誠にありがとうございました!