27年…になるのか…
3月15日、この日をなぜか忘れない。
1989年3月15日。この日、ぼくは東京ドームに居た。
吉田拓郎さんのLIVEが行われたのだ。
予約はしてなく、当日いきなり行きたくなったのだ。
東京ドームに着き、なんとかチケットを手に入れる。
内野席だった。
この日を覚えている理由をいくつか振り返ってみると…
・①初めて一人で行ったコンサートである
・②ツアーパンフレットが一風変わっていた
・③選曲(セットリスト)がぼく好みであってくれた
…ということだ。
① については…
それまでLIVEやコンサートの参戦は友達と一緒だった。
この吉田拓郎さんの東京ドーム公演が、
ぼくの初のソロ参戦だったのである。
また、こう言ってはなんだが、当日の会場は、ぼくから見ると、
お兄さんというかおっさんの年上の先輩たちばかりで、
ちょっと居心地がよくないような、
大人になったような気分だったのである。
② については
今日という記念の日を振り返ろうと
棚から引っ張り出して読み返した。
ツアーパンフレットと書き込んだが、
A4サイズの卒業アルバムのような装飾をしている。
そして中身が、ぼくにはたまらなく魅力的なのである。
拓郎さんのエッセイ(随筆)が中心の構成であるのだが、
これがすべて英文で書かれている。高校の英語の教科書のように。
右のページの片隅に、本当に小さな文字で
著名人の寄稿文も載せられている。
初めは、それが英文の対訳かと思ったが…違っていた。
これは魂消た(たまげた)、そしてしびれた!…英文読解した。
また当時の最新アルバム『ひまわり』の一曲目「ひまわり」の
歌詞を、ワンフレーズワンフレーズごとに区切り、
世界のいろいろな人々・風景のモノクロ写真が添えられている。
後述するがぼくは『ひまわり』が好きなので、
これもまた胸に沁みた。
このズシリとする冊子は白が基調でもあり、
丁寧に保管し続けてきた。
二冊購入しようなんて発想はなく、
本当に自分の卒業アルバムと並べて大切に扱い続けている。
きっと拓郎さんは、ばかだね~と呆れるに違いない。
③ については
不覚ながら細かい曲順まで再現できない。
アルバム『ひまわり』の楽曲が中心だったのと、
(ぼくにとっては、ナント!)「望みを捨てろ」
今でも好きな「この指とまれ」
当時好きだった「恋唄」
近藤真彦さんに提供した「あぁぐっと」が
生で聴けただけで感無量・大満足だった。
『ひまわり』というアルバムが
どういう評価でどんな位置づけかは分からない。
でも、拓郎さんの数ある作品の中では一番聴いたものである。
「ひまわり」に始まり「帰路」で終わる全8曲のこの構成が好きだ。
一度聞いてすぐ気に入るとか、
曲や詩が耳に残るという感じではなかった。
“なんだかよくわからない”というのが第一印象だった。
…でも、なんか引っ掛かる… ああ、これは…
「大人」なんだと思った。自分は「子ども」なんだと思った。
だから、もっと近づいていきたいと思った。
気がついたら一番好きなアルバムとなっていた。
聴く者には、次々と言葉を畳みかけてくる。
分かりにくい感じではあるが、ぼくには退屈ではない
絶妙にために成った珍しくも秀逸な作品である。
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その他、好きな歌を思い出すままに挙げていくと…
「落陽」「贈り物」「流星」「旅立てジャック」
「唇をかみしめて」「情熱」「私は誰でしょう」
「Mr.K」「30年前のフィクション」
「俺を許してくれ」「しのびあい」
「裏窓」「消えていくもの」「人間のい」「早送りのビデオ」
キャンディーズへの楽曲提供の「やさしい悪魔」「アンドゥトロワ」
太田裕美さんへの楽曲提供の「失恋魔術師」
中村雅俊さんへの楽曲提供の「青春試考」
小出正則さんへの楽曲提供の「新しい空」
…キリがなくなりそうなので、曲名はここまでで…。
特に近年「消えていくもの」と「早送りのビデオ」は、
仕事の終わらない事務所で深夜、
ずっと延々と飽きることなく流し続けた
大変お世話になった曲である。本当に感謝致します。
1989年3月15日、今から27年前、
この時間まさにぼくは東京ドームに居た