インクルーシブ教育とは
国籍や人種、言語、性差、経済状況、宗教、障害のあるなしにかかわらず、すべての子どもが共に学び合う教育のことです。
日本においても文部科学省によって、インクルーシブ教育の実現、普及が進められています。
しかしながら、同省がインクルーシブ教育と称して推奨しているのは、特別支援教育であり、障害のある子とない子を分けて教育する分離教育です。

2022年9月9日、国連の障害者権利委員会は日本の特別支援教育は「ほかの子どもと分離させるシステム」と指摘し、その是正を求めました。

このように、日本のインクルーシブ教育は世界から大きな遅れをとっています。

今日は、そんな遅れた日本の教育現場を目の当たりにした日のお話をしたいと思います。

娘は小学5年生ごろから不登校です。
自律神経失調症や、薬の影響で起床するのが難しく、登校出来ない日が多くあります。
中学2年生になった現在も調子が悪い時は週に1〜2回ほどしか登校出来ません。
しかし、2学期に入ってから調子の良い日が続いており、週4〜5回登校出来ています。

そんなある日、担任の先生から電話がありました。

「11月に職場体験があるのですが、娘さんは参加しますか?」

(職場体験とは、中学校等の教育課程の中の特別活動や総合学習などの枠内で、生徒たちに地域社会のさまざまな事業所で、職業の現場を体感させることです。)

私は娘が参加を拒否しているのかと思い、詳細を伺うと、先生はこう続けました。

「娘さんは参加したいと言っていますが、朝起きれないと、民間の企業さんに迷惑がかかります。そうなると困るので、本当に参加出来るかご家庭で話し合って決めていただきたいのです。」

確かに、体調次第で朝起きれるかどうかはその日にならないとわからないのは事実です。
突然お休みや遅刻をしてしまっては、迷惑をかけてしまうのは私たちも重々承知しています。
しかし、それは障害や病気のせいであって、何もサボろうと思って朝起きれないのではありません。
話し合って解決するものではないのです。

当日に突然高熱が出たら出席出来ないのと同じ事なのです。
先生は生徒全員のご家庭に電話をして聞いているのでしょうか?
「当日風邪をひいて高熱が出て、突然休まれると困るので、風邪をひくかどうかご家庭で話し合って、参加を決めてください。」と。

私に聞いているのはこんなレベルの話です。

世の中の人が風邪をひかないように気をつけているのとは比べものにならない程、私たちは朝起きれるよう、最大限の努力をしています。
それでも起きれない日があるのは、もうどうする事も出来ないのです。

受け入れてくださる企業側に事前に話す事はできないのでしょうか?
それでも構わないと言ってくださる企業を探してくださるのが合理的配慮ではないのでしょうか?

名ばかりのインクルーシブ教育で、今まさに娘の学びの機会は失われようとしています。