初心忘れるべからず。

よく聞く言葉ですよね。

職場に新入社員が入ってきたときとかに、言われがちなこのワード。

1番初めに抱いていた、意気込みを忘れるなよ!
っていう意味。

ではないんですよね。

この言葉を初めて使ったのって、誰だと思いますか?

約600年前。
室町時代。

今の「能」のスタイルを作った、「世阿弥」という人です。

そんな前からあったんですね!

世阿弥は、もともと能の前身となる猿楽をしていたのですが、常に技術や見せ方などに工夫を凝らし、アップデートしていった、当時としては革新的な演者さんでした。

生涯、能の演者として生きた世阿弥でしたが、
やはり壁にぶつかることも多くありました。

いままでのやり方が通用しない。

そういうタイミングがやってくることを世阿弥は知っていました。

子供ならではの可愛さが失せ、声変わりするとき。
ウケていた技術が、ウケなくなったとき。
老いて、身体が自由に動かなくなったとき。

そういうタイミングこそ、それまでのスタイルや考えを改めるべき、「初心」のタイミングであると言ったのです。

その初心がただのスランプだと思い込んで、

今までのやり方を頑として通そうとする人もいるから、

気をつけなさいよ、

誰でも、

それまでの自分を捨て、

新しい自分にならなくてはいけない時があるんだよ。

という意味で「初心忘れるべからず」と言ったんだそう。