私は、文系(法学部)から新卒でエンジニアとして就職しました。
今回は、新卒2年2ヵ月の私が転職に至るまでの経緯と、その過程での気づきを記録しようと思います。
現職について、入社を決めた理由
まず、私が新卒の就活で重視していたのは、主に以下の2点でした。
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法学部で学んだ知識を活かせること
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開発業務を含め、自身の希望する業務へ挑戦できること
現職の会社は自治体系システムを多く扱っており、法改正対応などを通じて法学部で学んだ知識を活かせる環境がありました。また、上流工程から開発、導入、運用保守まで一貫して経験できる環境であり、未経験の自分にとって幅広い業務に携われる点に魅力を感じました。配属においても本人の志望が考慮される風土があり、自身の希望する業務に挑戦しやすいと感じて入社を決めました。
入社直後に大きなギャップを感じることは特にありませんでした。IT業界だけでなく、“働くこと”自体が未経験だったため、先入観なく自然に業務や環境へ馴染むことができました。
1年目
1年目は、自治体システムのエンハンス対応(既存システムの機能拡張や改善)が中心でした。
Microsoft Accessを用いたローカル環境向けシステムで、VBAやSQLを用いた機能開発を担当しました。非常にレガシーで、些細な変更でも停止してしまうことがある、扱いの難しいシステムでした。
指示や仕様は理解できているつもりでも、いざ書いたコードは期待通りに動作しない。
イベントの発火順や変数状態を一つずつ確認しながら、膨大なコードを追い続けました。
初期の頃は、修正を入れるたびに別の箇所が壊れるような状態で、影響範囲の見通しが立たないまま手探りで対応していました。「なぜ動かないのか」を自力で切り分けることに非常に時間がかかりました。
しかし1年ほどコードと向き合う中で、単なる実装だけでなく、保守性の高いプログラムの書き方や、持続可能な仕様についても考えられるようになりました。
トレーナーさんと実装方針について議論できる場面も増え、自分なりの視点を持てるようになったことで、成長を実感しました。
ある時、5時間もの間、水を飲むことやトイレに行くことさえ忘れてコードを書いていたことがありました。そんな経験は、人生で初めてでした。
画面の前に座ったまま時間の感覚が消えていくような感覚で、ただ動いたり動かなかったりを繰り返すプログラムに夢中になりました。
気付けば、開発そのものが心から好きになっていました。
運用業務から得た気づき
運用業務を通じて感じたのは、整理された運用フローや資料だけでは見えない、現場特有の課題があるということです。
サービスは実際に運用されて初めて価値を持つものであり、運用設計そのものの重要性を強く実感しました。
例えば、市職員様が毎日特定のファイルを手動で取り込む運用がありましたが、ファイル名が分かりにくく、取込誤りが頻発していました。そこで、私はファイル取込の自動化を提案・実装しました。
呼び出し部分のみ最小限のコード追加とし、実処理はバッチ側へ切り出す構成とすることで、システムへの影響を抑えながら実装を行いました。
結果として、小規模な改修で現場の運用負荷を削減することができ、「現場の課題を技術で改善する面白さ」を肌で知ることができました。
2年目
2年目に入ると、自治体標準化システムの導入プロジェクトにアサインされました。
1年目はPC1台で完結するローカルなAccessの世界。しかし2年目は、日本全体のトレンドであるガバメントクラウドという最先端かつ巨大なインフラの世界でした。
旧システムの仕様や運用フロー、顧客ヒアリングをもとに、新パッケージシステムとの差分を整理し(FIT&GAP分析)、設定変更、テスト、データ移行を行いました。各種パラメータ設定も含め、複数回のテストを前提とした泥臭い工程が続きました。
毎日のように想定外の事態が発生していました。自システムに問題がなくても、同一環境(ガバメントクラウド上)にある他システムの影響で障害が発生します。
「今日こそ早く帰ろう」と思っても、気付けば深夜2時を回っていました。
土日対応も続き、この頃の記憶は正直疲労で曖昧です。
静まり返った、人の気配がない夜道を一人で歩きながら、 「この生活はいつまで続くのだろう」 「本当にこれで良かったのだろうか」 そんなことを何度も何度も考えていました。
当たり前に出社し、当たり前にデスクに向かう。
あまりの厳しさに涙が出ても、検証の手は止められません。
開発がやりたい。
でも実際には、目の前の障害対応や、テスト結果の確認、スクリーンショットの整理といった検証業務に追われ続ける。
実務として経験している内容と、自分が身につけたいスキルとの間に、埋められないギャップを感じるようになりました。
この頃から、転職を本格的に意識し始めました。
もちろん、この時の泥臭い障害対応や検証作業の経験が、システムを安定して動かす難しさを理解する上で、大きな土台になっているとも感じています。ただ、当時の私は目の前の業務に追われる中で、それを前向きに捉える余裕がありませんでした。
1年目の経験を経て、「開発への専門性を高めたい」という意識はより強くなっていました。しかし、実際の業務内容はプロジェクトごとのアサインに大きく左右されました。
今振り返ると、文系未経験だった自分を、ガバメントクラウドという大規模な導入プロジェクトにアサインしていただけたこと自体、非常に貴重な経験だったと感じています。その環境への感謝はありつつも、私はより開発・設計に近い領域で専門性を高めたいという思いを捨てきれませんでした。
上流から下流まで一通り経験したからこそ、私は「既存システムのエンハンス中心の経験から、設計から新規に関われる開発領域における専門性を高めたい」という思いを確信に変えました。
そして、この限界手前の状況から抜け出すため、私は資格取得と転職活動へ向けて、最後のエネルギーを振り絞りました。
資格取得
基本情報技術者試験(FE)には8回目でようやく合格しました。
最初の不合格時には大きな挫折を感じ、「自分はITに向いていないのではないか」と本気で悩みました。
一度は参考書をゴミ箱に捨てたほどです。
しかしその30分後には再び試験を予約していました。
今思えば前向きというより、「このまま終わりたくない」という意地と執念が強かったのだと思います。
当時の私にとって、資格勉強は「最後の希望」でもありました。
毎日のように想定外の障害対応に振り回され、自分の意志ではどうにもならない現実に追われ続ける日々。
その中で勉強の時間だけは、自分の努力がそのまま未来に繋がっていると信じられる唯一の場所でした。
その後、FEに合格し、同年には応用情報(AP)にも一発で合格することができました。
ただ当時は、「次はAP、次は転職活動、次はSC....」と、常に「次」に追われ、達成感を味わう余裕などなかったことも事実です。
転職活動
導入プロジェクトが安定稼働を迎えたタイミングで、転職活動を本格的に開始しました。
第二新卒枠での転職ということもあり、選択肢が広がる一方で、キャリアの方向性を厳しく定める必要があり、プレッシャーも感じていました。
「新規開発に挑戦したい」という思いは明確でしたが、実務としての開発経験が十分ではないという不安もあり、軸の整理には時間がかかりました。
複数の企業の選考を進む中で、最終的に私は大手IT子会社に転職を決意しました。
理由は、大規模な環境で新規開発・エンハンス開発に直接手を動かして携われる業務割合が高かったことです。現職での運用の比重が大きかった反省を活かし、内定をいただく前には「新しい環境での具体的な業務割合」をしっかりと確認し、自身の志向と一致しているかを何より重視しました。
長期的なキャリアの観点でも、その環境で確かな開発経験を積むことが、将来の選択肢の広がりにつながると考えたため、納得感を持って意思決定することができました。
転職活動は、単なる意思決定のプロセスというより、自分がこれまで積み上げてきた経験を改めて整理し直す時間でもありました。「これまでの経験は無駄ではなかった」と感じる場面も多く、新卒時には届かなかったレベルの企業とも対等に向き合えるようになったことが、大きな自信になりました。
振り返って伝えたいこと
今回の転職活動を通じて強く感じたのは、「就労期間よりも、経験の質のほうが遥かに重視される」ということです。
新卒2年2ヵ月での転職ということで、早期離職を懸念されることも想定していましたが、実際の面接で「在籍期間が短い」といった指摘を受ける場面は全くありませんでした。
IT業界では、キャリアの中で転職を通じて専門性を高めるケースが多く、年数だけで判断することはあまり本質的ではないと感じました。
そのため、「まだ2年目だから早いかもしれない」と期間だけで躊躇してしまうのは、むしろ機会損失になり得ると考えています。
第二新卒は専門性を高める環境へと舵を切る上で、非常に活用しやすいタイミングであり、環境探しの自由度も比較的高いです。
また、転職活動では学歴だけでなく、実務経験や資格も含めた総合的な評価を受けていると感じました。
実際、業務の裏で這いつくばって取得した「応用情報技術者試験」について、業務と並行して取得したその行動力と継続力が評価される場面が多くありました。
過去の経歴(文系であることなど)に過度にとらわれるよりも、「今何ができるか」「どのように成長しているか」に軸を置いてキャリアを考えることが、何より重要だと感じています。