ホンダの生産している車のうち、一部のスポーツカーにのみ与えられた特別な称号があります。
「TYPE-R」
スポーティーな車の中でも、更に運動性能やエンジン性能をトータルに高めた純粋なスポーツモデルにのみ
与えられたネーミングです。古くは96年のインテグラ(DC2)に始まります。
当時、1800ccで180馬力を誇ったSiRグレードをベースに、各部の軽量化と専用のサスペンションセッティング
そして赤いヘッドカバーを付けたB18Cエンジンは、量産車としては初めてポートの研磨を職人の手作業により
行い、またコンロッドやクランクのメタルの厚みの設定を通常モデルの倍の数として、より細かく調整出来ること
により、1800ccにして200馬力を達成したのでした。特にこのエンジンでは6000回転で高速側のカムに切り
変わると、8400回転のレッドゾーンまで一気に吹け上がる超高回転・高出力エンジンで、レーシングカーの
エンジン並みと賞されました。
その後、NSXなどにもタイプRが生まれました。
そしてシビックにもタイプRが誕生します。EK4と呼ばれた1600ccのSiRをベースにしながら、エンジンはB18C
の1800cc用のブロックを使い、専用高圧縮ピストンなどにより1600ccで185馬力を叩き出しました。
そしてこのタイプRは価格設定が良く、若者に絶大な人気を誇りました。
当時はシビックやパルサー、レビン/トレノ、ミラージュといった1600ccクラスのハッチバックやクーペの車が
若者の人気の中心であり、高出力エンジンであることがスポーツカーの絶対的な条件でした。
これが約10年前のお話です。
時は流れて、ホンダの新車の多くが低燃費を売りにしたり、ハイブリッドになったりしています。
ハイブリッドでもスポーツカーである!というCR-Zのような車も発売されています。
しかし、10年前のような、馬力こそがエンジンの最大の価値、サーキットのラップタイムの早さが価値といった
単純なモノではなく、燃費・低排出ガス・リサイクル素材といった環境に配慮した車になっています。
今日、そのシビックタイプRのEK9と呼ばれる型が車検で入庫しており、ボディの艶を取り戻すために全体を
磨きました。くすんでいたボディが艶のある塗装面に戻ってきました。
時代の変化とともに、スポーツカーという定義も変化します。
しかし、乗って楽しい、気持ちいいと素直に思わせてくれるタイプRのような車たちがこれからも大切に乗り続け
ていけるように、私たちは整備をしなくてはいけません。
世間の多くの乗用車がハイブリッドになってしまっても、高回転でハイカムに切り替わったときの加速の伸びを
味わえるように、今週は時間をかけてEK9というスポーツカーを整備します。