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文献講読を載せていきます

これだけは知っておきたい 儲かる飲食店の数字/日本実業出版社

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儲かる飲食店になるための必要な数字とは?
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景気が低迷している中、飲食店経営は厳しいと言われて久しいが、著者はそれ景気だけの影響ではないと否定する。極端な例、どれだけ景気が悪くなったとしても、外食に行く回数が減るだけでゼロにはならない。月5回の外食が3回から2回になったとしても、2回の内に該当するお店は売上をあげており、外れたお店はこれまでの顧客との関係性がその程度だった指摘する。

ただ、大切なのは3→2に減らされるのが「中小企業の店舗」が多いため、先の飲食業界で言われている「飲食業界が厳しい」という結論に結びつくと説く。

過去の日経MJにおいて「飲食店の60%が歓送迎対策を何もしていない」「記念撮影等、簡単なサービスですら実施している飲食店は1割強」と取り上げられている。すなわち飲食店の6割は「待ち」の状態になって何もしないことにより、結果的に来店が減り売上が下がるというスパイラル陥る。

そこで著者は開業前の準備段階で確信が持てるほどの数字計画を持つことの重要性説く。具体的には利回り30%(できれば30%以上)を確保できるかどうかが判断基準となる。また、この数値が実現できない場合は、その店舗の経営は難しいと判断できるとも指摘している。

利益を最大化するためには3大コストである原価(FOOD)、人件費(Labour)、家賃(Rental)
アルファベットの頭文字を取ってFLRの値を70%に収めるのを絶対条件と指摘する。30%がその他コストと利益となる。

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儲かる店作りのポイント
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儲かる店作りをするためには著者は3点をあげている。

1)経営者自身が好きな分野の料理か
まだ会社が小さな時は経営者が厨房に立つ機会が多いため、そもそも調理の当事者である経営者がその商品が誰よりも好きかが重要になる。

2)それを調理することが得意か
職人を雇っている場合、その職人がいなくなるとお店の閉店に繋がってしまうため、なおさら提供する商品に愛情をもつ必要があると説いている。

3)お店の商圏にニーズに合っているか
いくらオーナーが好きな商品で調理が上手に出来たとしても、お店自体のニーズがその商圏に無い限り売れることが無い。

結論、3つの要素が全て当てはまるのが理想的ではあるが、その中でも一番大切な要素は、「好きな分野の料理かどうか」。なぜなら、ニーズがない商品は商売にはならないが、圧倒的な商品力があればまだ広い商圏から集客できるため。

逆に商品は好きではない、調理も苦手、でも商圏にニーズがあるという状態だと、そもそも顧客に満足したサービスを提供できない可能性が高いため、ともすればクレームになると指摘している。

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儲けにかかわる数字とは
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売上、利益、経費の捉え方について著者は利益重視の数字の捉え方をすべきと説いている。

通常は、
売上-経費=利益 と計算されるのが普通だが
利益+経費=売上 といったあるべき利益を明確んし、
かつ必要となる経費を明確に把握することによって結果的に
利益が最大化できる、すなわち結果論的な利益の出し方の逆をやるべきと指摘している。
具体的な手法として、下記をあげている。
 
粗利を上げるため(利益を上げる)
・売価を上げる
・クロスABC分析を行い、粗利に貢献しているメニューの販売数を増やす

原価を下げる(経費を下げる)
・仕入れ価格を下げる
・ロスや廃棄を抑える
・10グラム単位の積み重ねでメニューを考える

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細かく見ていくと、

・仕入れ価格を下げる
・ロスや廃棄を抑える
こちらの中で意外と多いのが従業員の不正。すなわちお店の商品を無断で食べる、材料を持って帰るなど。不正対策については、発生の予防が大切で日々の商品管理をすることが重要と説いている。

・10グラム単位の積み重ねでメニューを考える
こちらは1つの食材に10グラム単位の原価を計算し、それに基づいて原価率を抑えたレシピを考えるということ。さらに人間一人が食べられるグラムも考慮するとより無駄のないレシピが作ることができる。コース料理の設定でイメージすると男性で500グラム、女性400グラムが妥当と述べている。


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売価を上げ方について
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単純に価格を上げてしまうと「値上げした」とマイナスな事を顧客に与えてしまうため、筆者は「記憶に残る価格」には注意が必要と説く。顧客は通常メニューのどのアイテムがいくらかまでは記憶に残っていないが、「そこのお店は大体600円ぐらいの料理が多かったかな」といった何となくのイメージを持っている。

その持っている価格の記憶は具体的には4つ
A)客単価
 人あたり大体いくら支払ったのか?の感覚、それが以前よりあまりにも高くなると
 「全体的に高くなかった!」と思われる。メニューを変える時でも値段を変えない
 お店があるがそれはこの理由のため

・オーダー数上位の商品
 オーダーが多い商品というのは、それだけ顧客の注文を受けている商品なので
 より記憶に残りやすい=値段を上げにくい商品。逆にオーダー数が下位の物ほど
 記憶に残らない商品のため値上げができる可能性がある。

・商品が多い価格帯
 極端な例で70アイテムあるお店で90円の焼き鳥がその中で30個あったとすると
 多くの顧客の感覚として、その90円の焼き鳥が価格として記憶に残る。

・最低価格、最高価格
 メニューにある最低・最高価格はやはり覚えられやすい。そのためそれら上限下限の
 価格を変更するには慎重になる必要がある。

これら顧客の価格に対する記憶に対してのアプローチとして、
筆者は「価格のラインと下限・上限」を指摘する。

一番高い商品と安い商品の価格幅を「ゾーン」と呼ぶがゾーンが広いと顧客は戸惑ってしまうし、お店のコンセプトがそもそもほばやけてしまう。一番安い商品と一番高い商品の価格差を『二倍程度』にする事を著者は勧めている。

例えばワインボトルであれば、下が3千円であれば、上は6千円が妥当。逆に上限が9千だと同じ3千円を注文した顧客の満足度は自動的に下がってしまう。

競合との差をつける見せ方としては、「商品の価値をきちんと伝える」必要があると著者は指摘する。典型的なのがコース料理名の付け方。よく松コース5,000円、竹コース3,000円といった名称に価格の価値だけ載せてしまうケースがあるが、その場合ほぼ100%、価格で顧客は選択をしてしまう。著者はここにおいて「季節の野菜の○○のコース」「春の女子化会コース」といったようなそのコースの内容や魅力をアピールすることの重要性を指摘している。

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所感
消費行動において価格の設定は一種の魔法みたいな役割がある事が興味深い。特に最後にコース名を変えるだけで、価値が伝わり購買意欲が高まりそうな感じがあるのはとてもシンプルだが、すぐに実践で使えることだと思う。商売の真髄を感じた。

また、昨今原材料の値上げが進んでいる中、飲食店だけが顧客離反を恐れて値上げできずお店が疲弊してしまう可能性を感じていたが、それこそお店のコンセプトがしっかりしており、価値がキチンと提供していれば仮に値上げをした所であまり揺るがない点を感じると強いお店=スタッフがちゃんとコンセプトどおりに顧客にサービスを提供する 必要があり、ここでもやはり経営理念の浸透がテーマになってくるのではと思った。

お店のバイトはなぜ1週間で辞めるのか?/日経BP社

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1)面接と受け入れ態勢次第でアルバイトは長続きする

飲食店800店を対象にした調査によると、1か月以内で辞めるアルバイトは全体の17.4%。「飲食店は長時間、仕事がハード」と捉えらている場合が多いが著者は理由が別の所と指摘する。

A)1カ月以内で辞める人の不満
・面接が一方的で価値観を理解してもらえなかった
・入店したが受け入れ態勢が不十分で放置された
・店舗内の既にあるコミュニティに溶け込めず孤立した

B)対策
◆募集時
・求人広告等で使用する写真に注目する。よくある「メンバーがピースサインで職場の雰囲気を伝える」写真を改めて再検討する。実際、職場で求められているのが、そのような雰囲気なのか?
・仕事に対してまじめな人ほど事前に店舗を見に来ているので、求人広告とギャップがあるとそもそも応募しない。

◆面接時
・応募メールに対して、メールだけで面接日程を調整するのではなく、電話で確認取ることで面接のドタキャンが減る
・ホスピタリィが高い人を採用したかったら、消しゴムをわざと落として拾ってくれるか反応を見る
・福利厚生、お店のハウスルール、労働条件についてはしっかり必ず伝える

◆勤務初日
・制服、名札などは綺麗に事前準備することで「自分に期待されている・大切にされている」感を伝える
・現場で働く人に新人さんの情報をあらかじめインプットしておき、コミュニティにスムーズに入れるよう手配する

3)初期教育の重要性
よく「この前の店ではこうしていた」と自己流を譲らなかったり、自分本位なスタッフを変えるためには入店してすぐの初期の教育が重要と著者は説いている。

・店舗の理念、コンセプトを面接時に伝えそれに賛同してくれた方をそもそも採用
・勤務と給与に関する細かいルールを作り伝える
・初日の出勤日30分~1時間ぐらい前に早く来てもらってオリエンテーションをしっかりする
・モチベーションをあげるために公式ではないがリーダー的役割を担当してもらい、「自分がいないと他が困る」図式をつくり仕事の満足度をあげる

4)自己流店長対策
店長の指示に一貫性がないと現場が混乱になってしまう。そもそもの原因は「店長が店長職を手にいれた瞬間、自分の色に染めたがる」点を著者は指摘する。すなわち、自分の価値観、信条、趣味嗜好、好き嫌いで店舗オペレーションを勝手に変えてしまう。

そのような動きになるのは、「経営理念やビジョン」が店長にしっかり浸透していないため。そもそもハウススール自体が、経営理念やビジョンから派生して作られているハズなので、その両者の関係性をまず店長が把握、さらなる浸透を図るのが重要。

5)店長の叱り方
まず叱ると怒るは違う。叱るはあくまでも「間違いや落ち度」指摘するためであり、感情を全面に出した怒るとは大きな違いがある。叱り方としては、まず相手の人格や外見などを批判する事は避ける。叱るのはあくまでも、間違った行動や言動なので、それが人格否定にいかないように注意する。次に、何かをやろうとした「意図」までは否定しないように気をつける。なぜなら誰も失敗しようと思っているわけではないので、失敗が起きた原因に注目すべてき。最後は「一度に沢山の事を叱ったり過去のを持ち出したりしない」事。

叱る場所も大切で、従業員の前で恥をかかせないようにするために1対1で叱る場を設けるのもコツを著者は指摘する。

6)No2を作れる店長になる方法
売上を伸ばしている店長には「部下の中にNo2となる人材がいる」という共通点があると著者は指摘。ただ、自分の代わりに現場を担当できるNo2を作るためには以下のポイントに配慮する必要がある。

・一度に多くの事を担当させるのではなく、簡単な仕事から引き継いでもらう
・引き継ぎをやっていくと同時に店長マニュアルを作成する(口頭での伝達から文字に起こした状態で伝えることで、抜け漏れが減る)
・店長マニュアルの中に、No2の裁量権を具体的に明示する
・引き継いでいる最中も仕事を丸投げするのではなく、店長が必ずサポートを行い任せた仕事でも最終的には店長が責任を取ると明確にしておく
・経営者は店長にマネージャーとしての目標(あるべき姿)を設定し、それに向けてチームを率いながら、人を育てるための知識・スキルを与える機会を用意する必要がある

7)店長になることの拒否を回避する方法
多店舗出店を計画する際、店長への昇進を拒まれる事は事業として大きなリスクである。仮に店長拒否が現実のものとなると他の従業員についても「店長拒否」が横行し、しまりの無い組織になってしまう。それらを回避するために以下の仕組みを著者は提案する。

・出店計画をベースに必要となる店長の人数を把握
・出店が決まったタイミングで店長になる事を拒めない集団「店長予備軍」をつくる
・店長予備軍のメンバーは特別に役職を設ける(まだ店長ではないが給与もあがる)
・出店が決まれば、その予備軍から店長を選抜し、育成が途切れないよう新たな店長予備軍のメンバーを追加する
・負債店舗などで店長が元に店舗に戻ってきてしまった場合は、そのお店の店長に配慮するために明確に予備軍or一般メンバーに降格させるルールをつくる(給与も下がる)


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花城の所感

アルバイトはそもそも辞めてしまうものだ思っていたが、実際1カ月の内20%弱も辞めてしまうのは驚きであり、その辞めてしまう理由がほぼ店舗側の準備不足、面接時の伝え漏れなどすぐにできるような事ばかりだった事にも驚いた。ぜひ店舗でも実践したいと思う。
ただ、常に社長がいるわけではないので、そもそも「一緒に働く人を大切にしよう」「新人がスムーズに働けるようにみんなでサポートしよう!」といったマインド作りについても全社員が理解する必要があり、それを語るにもやはり「経営理念」にまた戻ることに気付いた。

色々な店長に対しての対策の中では、「店長拒否」の話題が一番興味深かった。普通であれば店長になれば裁量もお給料も増えるので、働く側からすると「なりたい職」と思われがちだが、会社によって「なりたくない職」と捉えている点に驚いた。自社ではまだそこまでは至っていないので、早目に店長予備軍の運用を試してみたいと思う。お金も物件もあるのに店長が揃っていないため店が開けられない会社は沢山見てきた。

サイゼリヤ革命―世界中どこにもない“本物”のレストランチェーン誕生秘話/山口芳生

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本書はリーズナブルな価格で商品を提供するイタリアンレストランチェーン店「サイゼリア」のビジネス上のカラクリについて書かれた著書です。一見、ノウハウ的な事が多いのか?と想像していましたが、結局のところ創業者の想いや理念から全てが回っていることがよく分かりました。

■価格設定
本来価格を設定する方法は沢山あり、通常であれば外部要因(競合の動向やマーケットの変化)によって変更がされるのが一般的である。サイゼリアの場合、そのような外部要因だけで価格変更は行わない。あくまでもサイゼリアの本来あるべき姿を追う過程で、値下げが必要であれば行うという考え方。

そもそもサイゼリアでは、単品だけで注文されるのを想定しておらず、イタリアン料理として前菜からデザートまで食べていただくという方針がある。それを毎日食べ飽きず、財布にも負担が掛らないようにするために単価の価格を安くする必要があれば実施する。競合他社が価格を下げたから焦って自社の商品を下げるというプロセスではない。

事例として、当時はまだテーブルサービスを行うレストランでの値下げ合戦は行われていなかったにも関わらず、ミラノ風ドリアを480円から290円に一気に値下げ。ちなみにこのドリアはお店の看板商品で一番売れている商品。

では、なぜ値下げを行ったのか?

一番売れている商品=一番お客様が喜んでもらっている商品 という認識の元、
その商品の価格をさらに下げることよってもっとお客様に喜んでもらう。すなわち競合との差別化を考えて利益を出すための値下げではなく、あくまでもお客様に喜んでもらうための値下げを行っている。


■サイゼリアが安さに拘る理由
前述のとおり、お客様に喜んでもらうためだが、それも一部の人ではなく「より多くの人に、頻度高く」喜んでいただくためには『安さ』が必須とサイゼリアでは捉えれている。よくある値下げをする目的が集客(某ドナルドのお店)ではない。

また、そもそも外食産業自体が、基本的に「脳をびっくりさせること」で成り立っていると著者は述べていいる。誕生日を祝うなどいつもと違うものを食べてもらう場の提供、それが外食の位置づけ。なので、サイゼリア考える「安くておしいものを出すことが一番の社会貢献」というモットーも「安さ」点においては脳をびっくりさせていると考えられる。

■おいしさとは何か?
味覚は人それぞれなので、俗人的になってしまうがサイゼリアでは、明確に
「毎日食べても味わいがありいつまでも食べ続けたくなる味」と定義されている。

また、「おいしいものが売れるわけではない、売れているものがおいしい」というのも
逆のアプローチで考えている。作り手がおいしいと思うものが、お店にとっておいしいものではなく、あくまでもお客様から沢山支持されている物がおいしいといった徹底した顧客目線をもっている。

お店を出る時に不快になる事がなく、価格が「安い」と思っていただければまた来店していただける。逆にリピートされないお店は、商品に価値がないからで、それ以外に理由はない。お客様に「おいしい」を押し付けない(うまい!といわせたい職人は沢山いるが


■低価格を実現するために何を行っているか?

素材本来の味わいを活かした料理をモットーにしている。そのため原材料価格は決して安くなく、50%を超える物もある。そこで利益率を高めるためによく飲食店が行っている素材の品質を落とすのではなく、生産性を高めることで(人件費を抑える)ことで利益を出す構造にしている。

具体的には1)人時生産性の管理と2)原材料までさかのぼって商品を開発する2点。

1)人時生産性の管理
人時生産性は一人あたり一時間あたりどれだけの利益をあげているかを示す指標。調理という生産は色々な材料を色々な器具を使って少数で行うため、人によって料理の質や掛った時間にばらつきが出てくる。特に手間の掛かる料理ほど料理のばらつきがでるので、それを標準化することで包丁作業と仕込み作業、火加減を店の調理場から無くし(IHに変更)徹底的に生産性を高めた。

目指した人時生産性は5000円。
粗利益高に対して人経費の払う割合を50%にした場合(労働分配率)残業なしの基準内賃金だけで、社員一人に年間500万円の給与を支払うためには、一人当たり年間1千万円の粗利高があればいい。これを年間総労働時間2千時間でわれば、必要な人事生産性は5千円。これを目指す(実際は4千円以上あればOK)

2)原材料までさかのぼっての商品開発
自社で農場・畑を持っているのでゼロベースで商品開発を行い仕入れ価格を抜本的に見直す。また海外への買い付けについても交渉を重ねオリジナルの原材料を生産者から購入している。


■生産性の向上

生産性をカルチャーとして根付かせる。ただ単に社長のトップダウンではなく、社員全員でどうやったら無駄がなくなるのかを追及した。物の置き方から、調理する時の肘の動かし方まで。社長が理系出身だけあって行っている事がほぼトヨタの工場並みの改善をおこなっている。

また、生産性をあげるためにはそもそも社員全員が数字に強くなる必要があるので(作業を数値化するため)数字強化セミナーを実施した。中には勉強が嫌いで飲食業に入ったというメンバーもいて、根気強く教えていった。

大事なポイントは生産性をあげる目的が利益の増大化ではない点
利益も大事だが、もっと大事なのはどれだけ『従業員が楽ができるか』。無駄をなくして、作業をなくせばサービスがより良くなる。疲れてたら笑顔なんてでない。作業がシンプルになれば教えるのだってシンプルになり、味のバラツキもなくなる。

普通の会社であれば、TOPが人事生産性を一方的におろし、なぜそのような物差しになったのか、説明が不十分な場合が多いし、その説明を受けても理解できない場合が多々ある。そうなると現場は数字あわせとしか考えることができなくなり、総労働時間を圧縮するために人員を減らしたり、販促を掛けて粗利を増やすといったに出て、従業員の疲労につながる。

サイゼリアの場合は、社員ひとりひとりが「おいしいものを安く提供してお客様に喜んでもらうに必要な人時生産性はいくらか?」というのを意識している。

■優秀な人材を集める
メーカーの生産管理技術者を集めている。外食業がおこなっているような「同業他社」からのスカウトはいっさい無し。外食が真の産業になるためには、職人だけでない超一流の人材を集めている


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■花城の感想
実は餃子の王将と同年にサイゼリアも商売をはじめています。両社とも大衆向けの商材を扱っていますが、多くの点でアプローチに違いがあります。餃子の王将が職人気質的な厨房で大衆向け中華料理を調理する一方で、サイゼリアはとても科学的で論理的にお客様のニーズと従業員の満足度を上げるアプローチをし続けています。


顕著な違いが生産性へのこだわりで、サイゼリアでは業界の常識(飲食業は労働集約的で賃金が低い)を破るために徹底した改善を繰り返しています。それを実現するために積極的な生産技術者を雇用を行ったり、全社員に「生産性を向上が当たり前」と浸透させたり従来のチェーンストアではかなり異端な事業戦略を持たれています。

それもこれも創業者が20年間現場に出続け、一緒に現場に働いていた今の幹部達との強い連携があったからこそ。創業者の奇抜な考えだけでは、実施&成功までは難しくてもそれを支持し支える幹部があれば偉業も達成できるんだと痛感しました。
アメーバ経営 (日経ビジネス人文庫)/日本経済新聞出版社

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JALの再建以降個人的に注目を集めていた稲盛さんの著書。


コンプライアンス遵守の必要性が世界で重用視されている昨今、氏はそのルールよりも経営者側に「人間として何が正しいか」といった哲学や理論が大切と説く。その経営哲学とその哲学を具体的に回す経営管理システムが必要。すなわちアメーバ経営。

アメーバ経営とは部門別採算管理で、会社組織をアメーバと呼ばれる小さな集団にわけ、それごとにリーダー(経営者)を立てる管理手法。社内で社長一人(TOP一人)という社長だけに重責を背負わすやり方ではなく、各部門ごとにもその重責を持ってもらい「全員で参加する」組織を目指し生産性を高めるのが狙い。

ここまでだと、「縦割りの組織に責任を持ったリーダーを置く」というごく一般的に聞こえるが、このアメーバ経営の最大の特徴はその縦割りの組織ごとに原価計算・販売価格設定がされており、通常だと社内での取引に金銭を要求することなどありえなかったが、そこをあえて、社内での取引に金銭の流れを見える化することで各組織の生産性を徹底的に追及する手法。

◆アメーバ経営に特に必要なのは3つ。

1)経営理念
各アメーバは独立採算を取っているため、その場のリーダーがエゴに走って「自分さえよければ」という観念に陥らないために、エゴではなく主体的に会社全体の利益を考えられる経営理念とその浸透が必須。

2)経営管理部門
各アメーバで扱う数値を正確にはじき出す機関。ここが狂えば全てが狂ってしまう。PCでいうOS的な役割。

3)時間当たり採算表
労務、製造原価を差し引いた各部門の利益を総労働時間で割った物が時間あたりの採算表。単純な利益額ではなく、時間単位で出すことより身近な数字となる。


◆時間当たりの採算制度
「売上を最大、経費を最小にすれば結果としてその差である利益が最大になる」という原理原則が「時間あたり」に採算制度のベースとなっており、売上が増えても経費をそれに合わせて増やさないよう徹底している。


◆従来の製造業との違い
一般的な製造業の標準原価方式(原価をいくらかまず設定し、その後販売価格を決める、原価ありきの考え方)の場合、製造担当者は会社から決められた原価に抑えるまでがミッションになり、それ自体では利益を生まない。後の販売時に高い販売価格をつけることができればより利幅が多くなるが、もしその逆の場合、その商品は途端に利益が少ない商品となる。氏は、この手法において2点問題定義をしている。1)製造現場に利益を生む機会がない 2)営業担当の能力によって利益幅が左右される すなわち営業担当が会社の経営を決めてしまう流れになっている。

一方アメーバ経営の場合、原価ありきではなく市場価格(販売価格)をまずベースにする。いくらで売るかまず設定し、それに合わせて各アメーバが各々利益を出すよう生産性を高めるため、標準原価方式と比べ、コスト引き下げの機会が自然と多くなる。すなわち経費を最小にする動きがシステムとして行われている。


◆飲食店に当てはめると
1皿あたりの原価がある程度決まっている。いわゆるフード原価として、売上に対してのパーセンテージで捉えられる場合や実数時(●●円)で捉えられる。すなわち標準原価方式の考え方である。

もしこれをアメーバで考えると、アメーバ自体をA)仕入れ B)仕込み C)調理 と3つ想定する。まず販売価格を設定し、最後の工程である調理部門が「調理」の観点で生産性を高める努力をする。

例えばガス代を抑えるために明確に炒める時間決め、調理人がそれを統一する。また、材料の置き場所に工夫し一皿あたりの調理時間を短縮し、時間あたりの生産を高める。調理部門はここでどれだけ生産性を高められたかを評価される。

次に、仕込みの部門では、仕込み方法を工夫することで総仕込み時間の減少や食材の廃棄率を徹底することで原価を抑えることができる。

最後に仕入れ部門は、仕入れ価格や素材の回転率を工夫することでより経費の削減・過剰な在庫(死に金)を減らすことができる。

簡単な自社の場合の考察ではあるが、どの項目も「できる」項目ばかりである。ある程度の規模でセントラルキッチンを持っている、すなわち工場的な生産体制を持っている企業であれば十分対応は可能。縦割りにはなってはいないが、各仕事の数値管理はされていると思われる。

一方、個人店の場合3つのアメーバを少数で行っており(最悪の場合オーナーが全てとか)おそらく、一人の人間が複数のアメーバを担当する可能性が高い。そうなると、結果的に標準原価方式の方が管理がしやすいため、現状の個人店はそちらの手法を取っているんだと考えられる。

ただし、自社の場合でも同じ店舗が3店舗以上の規模感になれば(厨房スタッフが15人以上)、仕入れだけを担当するスタッフや、仕込み方法を四六時中考えるスタッフがそれぞれ1人ずつ存在する事は可能だと思う。おそらくちょうど3店舗以上になると社長が1店舗の時と比べて精緻に見ることが困難になり、管理が大雑把になってくる頃ではなないだろうか。

アメーバ経営は京セラが生み出した「ひとりひとりの社員が主役」になって一致団結して、利益を生み出す経営システムである。中小企業にも同様な事を『導入する』事は可能であるが、継続して利益を積み続けるためには前述した経営理念の浸透や数値を扱う管理部門の設置などハードルは低くない。逆に考えるとそれだけやりがいがあるシステムだとも考えられる。

以上