その夜は私が泊まることにした。

お母さんは身体休めて、次の日お母さんが泊まることにした。


お父さんには、なんとかお願いしまくって泊まっていいよって言われたと伝えた。

苦しい中で、帰って大丈夫だよ、といった。

前の日、お母さんに、

一人になりたくない

死にたくないと泣いた父。

私にはそんな姿を見せられないのかなと

亡くなったあとに気づいた。

一度家に帰り荷物を取って病院に来るねと約束した。


車の中で、お兄ちゃんが

「親父には、あんまり頑張れって言うなよ。

もう十分頑張ってるんだからな」

といわれた。

「そうだよね、そうだよね…」

ほんとにそうだなって思った。


病室へ向かうと昼より苦しそうな父がいて、

歯を磨きたいという。

もう無理すると60台にさがる。

でも口の中気持ち悪いって。

何かの副作用?口の中がものすごく荒れている。


歯磨き粉はつけないで歯ブラシを渡したけど

やっぱり苦しくなってしまう。

夜とても優しい看護師さんがいて、氷水につけたスポンジを持ってきてくれた。

気持ちいいでしょと、話しかけてくれると

父は頷いた。

この人が担当なら少し心強い。


とにかく父の近くにいる、ひとりじゃないよと、

不安だけでも取り除けたら。

でも、まだ手を握ったり、なんか照れくさくて

足を擦ったりしていた。

お父さんはタオルを目の部分に当てて呼吸も苦しそうだった。泣いてるのかな…

今日の夜は後悔ないよう、お父さんのそばにいれるから、しっかりしようと思った。