読書のおと vol.1 | 流れ星に願いを

流れ星に願いを

流れ星に願いを唱えると叶うんだって。
でも、いつ流れるか分からない流れ星に願いを唱えるには、
常にそれを心の中に持っていないといけない。
常に願いを持っていると、
人はそれに向かって行動するように出来てるんだって。
だから願いは叶います。

ウルド昆虫記 バッタを倒しにアフリカへ 前野ウルド浩太郎 光文社 2020年

 数年前、私が主催する「本を読まない読書会」でこの本を持ってきた若者がいた。「タイトルと表紙の絵から、ちょっとふざけた本だろうと思ったが、とても真面目な面白い内容だ」と感想を述べていた。コロナ禍で読書の機会も増え、机にどんどん積み上がっていくので、図書館を利用しようと思った。気になる本を数冊予約していたので、この本をいつ申し込んだか思い出せないが、緊急事態宣言が延長されたときに図書館から予約分の貸し出しを再開したとメールが届いた。その数冊の中にこの本があった。

 こんなにこの本は大きかったかしらと思いながら、表紙のイラストを見て、やっぱりこんな本だったよなと自分を納得させ、はやる気持ちでちょっと開いてみた。

 「児童書版のまえがき」・・・ん??児童書??これは間違って予約したのか?パラパラと中を見ると、ルビがふってある。それに各ページにバッタのイラストと注釈がついてる。

まあいいか、せっかく借りたんだし。そう思って読み始めると、著者の心遣いがあった。

「この本で使われている難しそうな言葉の説明をして、みんなの読書のお手伝いをするよ」、「なんとなくわかったつもりになったらOKだよ。そもそも大人向きに書かれた本だから、自分の読書力がどんなものか試してみてね。」やっぱり児童書だ。予約を間違ったんだ。

 気を取り直して、いつものようにそでの部分に戻って読み始める。「砂漠にトイレなどない。砂漠の全てがトイレだと言っても過言ではない。」なんだ?これは!面白そうじゃないか!もう一度「まえがき」を読み直した。そうかこのイラストの「バ太郎」が注釈をしてくれるという構成か。「はじめに」へ進む。文章は児童向けではなさそうだ。バ太郎の注釈に目をやると、「狂乱→人々が慌てふためき、大パニックになっていること。」なるほど。

 注釈は本文を読み進めていくと、もっと楽しいのがある。例えば「胸の高鳴り→好きな子を見てドキドキしているときに胸に手をあててごらん。それが「胸の高鳴り」」とか読み手の興味をそそる工夫がされているのだ。

 「目次」にも目を通す。真面目だ、ますます先が気になる。そもそもこのタイトルから「ふざけてる本」と思ったことを改めて反省した。著者はいたって真面目だ、申し訳ない。

 この本は、実は「学術書」であると思う。誰でもがわかるように平易な文章で面白おかしく綴られているが、研究内容や新しい発見が要所要所に出てくる。ふざけているようで、研究にお金がかかることやいろんな制度があることも教えてくれている。この本で昆虫やその他の「研究」に興味を持つ子がいるかもしれないし、何かに挑戦するきっかけを得るかもしれない。著者が言うように、「最初の1冊」にふさわしい本であると思う。「児童書版のあとがき」に著者の読者に向けての想いが綴られている。

 やっぱり何かを成し遂げる人は違うよね、考え方や行動が一貫しているし、自分をいい加減なように描写しながら、実はすごい人脈があって、すごい成果も上げている人なんだな。でも私はバッタには興味がない。    

                              (2021/6/12)