RO-DOKU音戯草子2015の感想など
6/27(土)18時公演
朗読劇は今回が初めて。
劇場ではなく、公録などを行うようなスタジオが会場であった。さすが放送局というべきか、地下2階でも電波が良い。
全五編を観劇。全部について書くと長いので、印象深い作品のみ。
二話目「鬱積電車」
これが特に面白かった。テンポの良さに加え、演者のキャラクターの切り替えがうまく、群読の良さを最大限生かしているように思った。
これから電車内で起こるであろう大騒動を、聞き手の想像力に委ねて終わる形も余韻を残すようで好き。
田所さんの老婆や中年女の役どころが笑いを誘う。
四話目「青い目のイヴ」
近未来を舞台に、人工生殖による繁殖が一般的となった世界で起きた悲劇、と書くとなかなかそれらしいが、凝った設定のわりに、それらについて掘り下げらしいものはほとんどなく、こんなものかと思ってしまう。
おそらく愛とは薬や規制などで抑えられるものではないのだ、というメッセージが含まれた作品なのかと思うが、いかんせんそれを主張する青年があっさりと抹殺されるので、私からしてみれば説得力もなにもないのである。彼がこの世界に何か影響を与えたかというと、別にそんなことはないように思う。ただ、彼がこの世界に唯一残すことができた証である、女に宿った新しい命が気がかり。
題にあるイヴというのは、監視システム兼処刑用の人型ロボットというような設定。イヴはラストシーン、青年を処刑する以外は何も行動しない。青年の末期の語りをただ浴びせられるだけである。名前はおそらく創世記のアダムとイヴからとったのかと思ったが、もしそうなら役不足すぎる気がした。
ただ、古谷さんの一人読みが実に良い。古谷さんはまだまだ駆け出しの役者であり、表現のすべてを声に頼る朗読劇は少々身に余るのでは、などと失礼なことを思っていたが、全くそんなことはなかった。彼の独特の語り口には味があり、どこか昭和の名優たちを思わせる。少年期と青年期のあいだのようなキャラクターを、時に気だるげに、時に感情的に演じ分ける姿がすばらしかった。
作品には正直物足りないというか、好みでないという気持ちが強く残ったが、古谷さんの語りが予想以上に素敵だった。それを鑑みて、もう一回同じ話を聞きに行くかと言われれば、まあ、行かない。
備考
目当ての役者の朗読劇一編のみ鑑賞するのかと思っていたところ、4000円(前売)のチケットで5話の朗読を楽しめたことに驚いた。内容の濃さ的にもお値段以上すぎる。
全席自由だったので、遅れて入場した私は最後列の端に座ったのだけれど、ありがたいことに、スタッフの方が真ん中あたりの空席を探してわざわざ案内してくださった。朗読劇なので別に舞台が遠くても問題はないが、私としては語り手の表情も見られたこと、そしてスタッフの方のお気遣いが大変嬉しかった。
群読、一人読みの中でも、良いな、と思う演者のほとんどがタイムリーオフィスに所属されていることをチラシにて確認。また、今回もタイムリーオフィス所属のタレントの方々が受付などの雑務をなさっており、毎度のことながら、とても愛想良く気の利いたご対応をしてくださる。アットホームというか、本当に人柄の良い方たちが集まっているのだと思う。
追記
「青い目のイヴ」について
古谷さんご自身の感想を拝読して思ったこと。
私はこのド最低な世界が気に食わなさすぎて、男が何も変えられずにただ死んだところで話が終わるのが気に入らないのかも。男の人生そのものに重点を置いて聞いていれば、また違った感想が生まれたかもしれない。
うーん、でも私は男の一生がどうだったかより、残された女と、女に宿ったはずの命がどうなるのかに興味がある。続きのあるなしではなく、この世界において、男の物語は序章にすぎないように思う。
好きな役者の出演する作品はなるべく理解を深めたいので、やたらと感想が長くなるのはご容赦いただきたい。
追追記
「イヴ」の主人公、青年青年と書いたが19歳らしかった。
