EUの動きにここで注目しておくことは有益だと考えます。なぜなら,アメリカ大陸ではバイデンが大統領選から降りカマラ・ハリスが後継指名を受けるような事態になっていますが,まだその決定はなされていないので,オルバンの揺さぶりにEUがどう対応するかが注目されるからです。理由の二つ目はマクロンが大統領になる見込みはなくなったからです。欧州は夏休みですが,ウクライナに利権を持つフランスが停戦を阻止できないので,フランスは五輪が終わるまで二進も三進もいかないでしょう。

 もちろんオルバンはゼレンスキーに頼まれたから停戦の音頭を取ったという説がありますが,これは根も葉もない説で彼は戦争が復興しがたい欧州にすることを心配すしています。とはいえ,エレンスキーはどうしたら良いか分からず,頼りになる人には誰でも頼むかもしれません。ナチ残党の一人フォン・デラライエンやショルツなどは対ロシアで強硬派で軌道修正はできませんのでオルバンや王毅外相の話し相手にはならないでしょう。もし王毅外相の仲介が現実味を帯びてくれば停戦はあり得ますが,まだその段階ではないでしょう。

 戦況は悲惨でウクライナに勝算の見込みはない。しかしそれだけではなく,西側から送られた兵器はほとんど破壊され,特殊部隊も死傷者をたくさん出すようになりました。神の「慈悲」に値しない特殊部隊や外国人傭兵もこれから益々屍を天下にさらすでしょう。

 これまで超音速のミサイルや兵器が量的にもロシヤ軍に行き渡り」多くの兵士が操作可能になるにつれてウクライナ兵や傭兵の死傷者が出てきますが,防衛不可能でしょう。ただただ砲撃や銃弾を受け反撃は不可能となりつつあります。それでも兵士はいるので逃げ出すか砲弾の餌食になるかのどちらかになるでしょう。逃げ隠れ出きる場も少ないでしょう。そこで問題は東の4州からウクライナ軍が完全に駆逐されればキエフ攻撃も盛んになるということです。

 ロシヤ軍はこれまで停戦違反があっても,国際条約で禁止された白燐弾や生物化学兵器が使われても批判するだけで相応の反撃はしていませんでしたが,7月末で準備万端整ったと言えましょう。すなわちまだ東部4州が完全奪還されていないのでキエフ進軍にはならないとは思いますが,まもなく大規模な反撃に出るでしょう。

 他方でベラルーシを紛争に巻き込む計画がありますが,最近の大統領報告によれば,ベラルーシ=ウクライナ国境からウクライナ兵が引き上げたということです。陽動作戦なのか分かりませんが,負けそうなときは戦線を拡大するという戦略がありますがそれに反しているのです。エレンスキーへの助言者たちはそう進言するかもしれませんが,分かりません。ただロシヤ側からみれば,4州が完全に解放されれば,どこへでも進軍可能です。

 2014年のマイダン革命以来,ミンスク合意Ⅰまでに1.4万人以上が東部2州で殺され,キエフ政府内で暗殺された親ロ派議員や役人のことを考えれば,プーチン大統領の❶ウクライナの非武装化,❷脱ネオ・ナチ化の目標は停戦交渉の目標として最後まで残ると思います。田中宇氏などは❶は(交渉)条件次第だと指摘されていますが,目標❶と目標❷とは譲れないと思います。

 

 以上のことを考えると,中国の王毅外相の動きが今後の停戦交渉を左右すると考えます。

 ボルネオ島特産 タラ:パター味でこの上な美味しいのでみんなで食べることをお勧めします。一人では食べきれません。