※この物語は、kouri様作製のフリーホラーゲーム『Ib』を題材としたものです。
※この物語は、私の独断と偏見によるイメージです。
※原作の雰囲気を壊さないよう、心掛けています。
※参考画像はpixivより引用しています。
【二次小説】 『Ib』エンディング「再会の約束」
~「再会の約束」をしたイヴとギャリー。美味しいマカロンの喫茶店での小さなハプニング~
---それではお楽しみください---
“ポカポカ” “ほのぼの”、そんな言葉が良く当てはまる昼下がりの午後。
ギャリーはオープンテラスの喫茶店の一角に座り、人々が闊歩する通りを「見る」わけでもなく、ぼんやりと視界に捉えていた。
今日は「再会の約束」の日……。
「マカロン、一緒に食べに行きましょうね」
ギャリーはあのスケッチブックの世界で、自分が言った言葉を思い出し、口角を上げた。
(我ながら、あんな場面でよく“マカロン”なんて、能天気な事を口にしたものだわ……、ま、“あんな場面”だからこそ、口にしてしまったのかもしれないわね)
「ギャリーはここで待っててね!私が買ってくるから」
そう意気込んで、マカロンを注文しに行ったイヴの弾んだ声が、脳裏に響く。
(あら、でも少し戻ってくるのが遅いような……?)
ギャリーの意識が、目の前の大通りからイヴに戻った時―――
「きゃ」
―――イヴの小さな悲鳴が耳に届いた。ギャリーは辺りを見回し、すぐにその声の出所を突きとめる。
***
「うお~、お嬢ちゃん。小さくて見えなかったよ~。俺達並ぶの面倒くさくって、ココ、入れてね!」
ギャリーが連れて来てくれた、マカロンの美味しい喫茶店。そこは少し混雑していた。
イヴはギャリーと自分の頼む物を忘れまいとしながらも、お行儀良く列に並んでいたのだ。
そこに数人の若い男達が順番を守らずに、小さなイヴの前に割り込んで来たのである。
「え……、ち、ちゃんと並んで下さい……」
イヴは身長が倍もある男達を見上げて言った。
「ごめんこめん~」
しかし男達はイヴを相手にしてない様子。
「み、みんな、迷惑しています」
少し震える手を誤魔化す為に、ぎゅっとこぶしを作るイヴ。
「あー、なんだぁ、こいつ」
「俺達の次には買えるからよ、待ってろよ~」
男達は次々にイヴを茶化していく。
「こんなチビ、脅かせばすぐに泣き出すぜ?……ほら、こうして」
男は“ベロベロ~”と言って、不細工に歪めた顔をイヴに近づける―――
「ばっかねぇ、イブがそんなので怖がるわけないじゃない」
イヴがハッと顔を上げた瞬間、体がふわりと浮いて……、あっという間に男達の身長も通り越して……。
イヴはギャリーに抱っこされ、彼の腕にすっぽりと収まっていた。
「なっ……」
男たちは突然現れたギャリーに驚いている様子。
「イヴはねぇ~……」
ギャリーはすぅ~っと息を吸い込んだ後、一気に捲し立てた。
「額縁から抜け出して襲ってくる絵画を相手に、私のバラを取り返してくれて、首のないマネキン達に追い掛けられても、壁から手や、床から目玉が沢山飛び出して来ても……(以下省略)、泣きごと一つ言わなかった子なんだからねぇえ!」
イヴはそんなギャリーの物言いに、思わず吹き出してしまった。
「……ん、何笑ってるのイヴ?」
ギャリーもクスっとしてから「私何か間違った事、言ったかしら?」と付け足した。
「ううん!言ってない」
ぎゅっとギャリーに抱きつくイヴ。
「だ・か・ら。そんな美しくない顔をいくら歪めたって無駄よ。……分かったのなら、さっさと順番守って、並び直しなさい!」
男達はギャリーの剣幕に負け、しぶしぶと去って行くのであった。
「ふふふ、良い子だったわね、イヴ。注意してた姿、カッコ良かったわよ?」
―――ギャリーに抱っこされたままのイヴ。ギャリーの高さから見る世界は大きくて広くて、まだまだ知らない事が沢山あるように思えた。
(……早く、ギャリーと同じものを見えるようになりたいな)
イヴは心のどこかでそんな気持ちを抱いた。
「さ、イヴ。一緒にマカロンを選びに行きましょ」
「うん!!」
---おしまい---
---引き続きおまけページをお楽しみ下さい---