民主党のマニフェストのメインと言ってもいいほど話題になった「子供手当」。今回は、子供手当の罠を紹介する。
 マニフェストには、「中学卒業まで、1人当たり年31万2000円の「子供手当」を支給します」とある。これを聞いて「いい政策だ」と思う親は頭が悪すぎると言わざるを得ない。普通の人間ならば、「財源は?」と思うものだ。
 では、財源を紹介しよう。民主党が出してきた財源は以下のとおりである。

▲配偶者控除の廃止
▲扶養控除の廃止

 ここでは上の二つを深く考えずに簡単に言ってしまおう。つまりは、「増税になる家庭がある」ということだ。増税になる家庭は「子供が一人の家庭」と「子供がいない家庭(共働きは除く)」である。子供手当はこうした増税がある、負担の大きな政策なのだ。
 民主党は、「子どものいない一部世帯(65歳未満の専業主婦世帯のうち納税世帯)で税負担が増えます」と説明している。民主党推計では全世帯の4%が増税対象になる。しかし、共働きでも片方の給料が扶養控除規定以下の収入の家庭や不妊治療中の夫婦などもいる。それを考えれば、増税対象が4%とは到底思えない。
 また、控除廃止だけでは、子供手当支給に必要な5.5兆円のうち、1.6兆円しか確保できない。残りの4兆円を確保するには、国民に負担を強いる大増税しかないのだ。
 私が、気にしているのは、結婚せずに育児をしている男女や外国人にも子供手当が支給されることだ。国が支給する「お金」であるにも関わらず、結婚をしていない男女や日本国籍ではない外国人にまで支給するのは、非現実的である。外国人への支給に関しては、在日韓国・朝鮮人や在日中国人の存在を意識してのことであるのは明白だ。もし、このまま外国人にまで子ども手当が支給されることになれば、それ目当ての外国人が大量に日本に押し寄せてくる可能性も考えられる。押し寄せてきた場合の負担の矛先は、もちろん我々日本国民である。
 もうひとつ気になるのは、この子供手当に年収制限がないことだ。そのため、所謂「大金持ち」でも子供手当が年31万2000円もらえるのだ。年収400万円の家庭でも年収3000万円の家庭でも同じ金額が支給されるというのはいかがなものか。年収3000万円の家庭への子供手当支給は、本当に必要だと言えるのか、甚だ疑問である。 
 定額給付金支給は、マスコミも民主党も大バッシングをした。しかし、今回の子供手当は大歓迎だ。どう考えてもおかしいではないか。マスコミは報道しないが、自民党の定額給付金支給は世界から評価されていた。経済協力開発機構(OECD)経済局のシニアエコノミスト、ランダル・ジョーンズ氏は、「恐らく即効性がある最も有効な措置」と評価している。そして、大きな経済効果もあり、あの自民党嫌いの朝日新聞でさえ、「給付金、思ったより消費を刺激 域独自策に効果」という記事を書くほどだったのだ。しかし、マスコミが一切報道しないため、国民は定額給付金がバラマキであると勘違いしたままだ。今回取り上げている子供手当のほうが遥かにバラマキであり、しかも、バラまくだけでなく、国民に増税を強いるのだ。これほど、問題のある子育て政策はないだろう。
 上で、「子供が一人の家庭」と「子供がいない家庭(共働きは除く)」が増税対象と書いたが、子供手当が支給され始めれば、数年後には「日本人全員が増税対象」となりうる。国民から「カネ」をむしり取ろうとしていると言っていい。
 2009年7月8日の読売新聞朝刊に、7月7日の常任幹事会での藤井裕久最高顧問の発言が掲載されていた。その言葉は以下の通りである。あまりの無責任さに驚かれると思う。

 「財源にはそこまで触れなくていいんだ。どうにかなるし、どうにもならなかったらごめんなさいと言えばいいじゃないか」(藤井裕久最高顧問)

 最終的には増税を考えているのにも関わらず、良いことしか言わず、国民をだましている民主党をどう思いますか。財源を軽く見て、出来なかったら出来なかったで謝ればいい、と軽々しく言い放つ民主党を信頼できますか。
 これでも民主に期待しますか。

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