今の鳩山内閣は東アジア共同体という「できそこないの夢」を抱いている。これに賛成するような人は、左翼か、ただの勉強不足かどちらかしかない。一定レベルの国家の一定レベルの国民ならば、普通は断固反対なのだ。もちろん、私も東アジア共同体などは以ての外だと思っている。反対する理由は簡単だ。「日本に何のメリットもない」からである。
 東アジア共同体が実現した場合、非核保有国であり、国連の常任理事国ではない日本がイニシアティブを握ることは到底想像ができない。当然、常任理事国で核保有国である中国がイニシアティブを握るのだ。中国主導になれば、通貨価値が低い人民元が共通通貨となり、政治体制は社会主義(独裁体制)になる。つまり、日本という独立国家が中国の属国になる可能性があるのだ。また、「地方主権」により国内基盤の弱体化した日本、そして「御人よし日本」は、外交・安全保障においても、東アジア共同体加盟国との交渉で、明確な主張と断固たる行動が出来るとは思えず、共同体構想の所為で国益を損ねる可能性も考えられる。これだけでも、共同体構想が如何に低レベルなのか、そして、危険なのかがお分かりいただけただろう。
 そもそも東アジアは政治体制や価値観が大きく異なり、「自由主義」や「民主主義」といった共通の価値観を有するヨーロッパのEUと同列の発想はできない。日本人の多くは日本と中国が共通点を多く持っていると思っているかもしれないが、実際は、欧米諸国や西欧諸国との共通点の方が多いのである。
 よく考えて見ていただきたい。アメリカナイズされた現代日本はアメリカとの共通点が多いのだ。下記の図は日本と西欧諸国の共通性を表している。



中国を批評せよ ~中国批判コラム~ 「新 脱亜論 渡辺利夫著」より

 上の図は、地域を簡単に区域分けしたものである。これを見ると、アジアの中心部が広大な乾燥地帯であることがわかる。この乾燥地帯は遊牧民族が生活・支配し、古代文明の多くはこの地帯とその周辺に多く成立した。遊牧民族は常に移動し、戦いで他民族を支配(暴力支配)した。その関係で、農耕文明を守るために中国(Ⅰ)、インド(Ⅱ)、ロシア(Ⅲ)、イスラム(Ⅳ)では軍事的な専制国家が発達した。しかし、その東西の周縁に位置する日本や西欧などの農耕地域に住む民族は、こうした専制国家の直接支配をまぬがれ、自発的な遷移によって農業文明から工業文明に進化した。(池田信夫 Blog http://blog.goo.ne.jp/ikedanobuo/e/42f593fdeab920eca3c15e1147c58747


 引用を見ていただければ分かる通り、地域的な視点で見ても日本と西欧諸国は似ているのだ。日本と中国、韓国との共通点を無理やり見出そうとすれば、「漢字」と「地理的に近い」くらいである。
 経済的な問題についても書いておく。共通通貨(通貨統合)に関してだが、東アジアでは国家間の通貨価値が大きく違う。これだけでも共通通貨実現が不可能であることは容易に想像できる。また、もしも、共通通貨が実現できた場合、日本の力で築き上げた円の価値が無くなり、さらに、将来どれほどの損失を日本が被り続けるのか想像もできない。
 共通通貨という構想は通貨価値が同じであるという前提条件がなければ、絶対に不可能なのである。つまり、共通通貨云々というのは机上の空論で、「東アジアでの共通通貨」を思いつくこと自体がおかしいのである。
 そのほかに経済的問題として予想できるのが、共同体実現のため、中国が日本に対し、多大な拠出金を求める可能性があることだ。日本の身銭を切ってまで、東アジア共同体を実現する必要がどこにあるというのだろうか。また、共同体にすることで、不法入国者や移民の流入が増加し、日本の治安悪化や日本人の失業などの社会問題が深刻化する可能性もある。関税に関しても、東アジア共同体内で廃止されれば、日本国内の産業は大打撃を受け、日本の経済崩壊につながると予想できるのだ。
 東アジア共同体論者はEUをモデルとしているが、前述した通り、EUは価値観が似ているという「共通点」があったからこそ実現できたのであり、共通点がない東アジアでは共同体構想は非現実的なのである。また、EUと同じ考えいけば、共同体加盟国が軍事的に共同防衛体制を組むという話が出てくる可能性が考えられる。しかし、これは、歴史のねつ造によって国民意識を高めている中国、韓国のような反日国家に囲まれた日本にとっては「侵略してください」と言う看板を付けるようなもので大変危険なのだ。
 「中国の属国になる」という部分を詳しく説明する。中国には未だに中華思想という自国中心主義の差別的思想が根強く残っており、その証拠と言えるのが、チベットやウイグル、南モンゴルなどへの侵略、固有の文化の破壊、宗教弾圧、虐殺・虐待・略奪などである。また、将来的に民族絶滅(民族浄化)まで図っている事から考えれば、中国がイニシアティブを取る共同体の下、日本を侵略し、日本人が「中華民族の中の日本族」となる可能性も否定できないのである。また、日本に移住する障壁が減れば、約三千万人いると言われる、結婚できない中国人男子(一人っ子政策による男女比のいびつさから)が日本に流入し、日本人との結婚が増えて、チベットやウイグル、南モンゴルのように人口比が逆転する恐れがあるのだ。
 つまり、近代国家「日本」が中国の属国になり、いずれ日本人が少数民族になることも十分考えられるということである。

民主党に入れた方、東アジア共同体に賛成している方、これでも賛成できますか。
民主党は、こんな日本崩壊政策を打ち出しているのです。
これでも民主に期待しますか。


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