「さくらちゃん今日は出勤前に一時間だけ付き合って」
「もちろん!どこへ行くのですか?」
スナックビルが立ち並ぶ歓楽街に入り
「行きつけのスナックがあるんだよ」
私も他店に興味もあったし
楽しそうだなぁと
ワクワクしていました
「ここだよ!」
7人?8人?ぐらいしか入らない小さなスナック
奥から
「いらっしゃいませー」
そこには、お風呂上がりなのか
髪がボサボサでスッピンのママらしき人が、、
「ママいつものねー」
「ハイハーイ」
お客様はスッピンのママを見ても
驚いた様子もなく
いつものように過ごしているようだった
暫くしてから
「おはようございまーす」と
お店のホステスらしき人が出勤してきた
その子を見ると
髪はボサボサ、顔はスッピン...
その5分後
「おはようございまーす」
「…」
「なんだこの店は…」
みんな化粧もせず、服も普段着
ホステスとしての欠片もなく
私のお客様はなぜここに来るのか不思議だった
お勘定を済ませ
自分の店へ同伴出勤し
お客様に尋ねてみた
「さっきのお店なんだけど」
「あービックリしたでしょ?」
「付き合いの長い知り合いなんだよね」
「俺が商売してた時に家族ぐるみでお世話になった人達なんだ」
ママと娘二人でお店を始めたらしく
ママの旦那が
かなりの借金をしてたらしく
何も持たずに子供を連れて家を出てきたらしい
とりあえず住む所を確保し
「力を貸してほしい」と
お客様のもとに相談してきたらしい
「そんな経緯があったんですね」
人の力になるって
背負うって
それなりの器と甲斐性がなければ
できることじゃありません
最初の見た目で
自分流に解釈してしまうものですが
背景には壮絶なストーリーが
あったりするものです
「さくらちゃん」
「人の見た目は大事だけど」
「見た目だけで人を判断してはいけないんだよ」
「やっとレールに立って希望を持って頑張ってる人がいるんだよ」
「そうですね」
それから約3ヶ月後ぐらいに
「さくらちゃん前に行ったスナック覚えてる?」
「うん」
「今日出勤前に少しだけ付き合って」
またあのスッピンの店か...
「いらっしゃいませー」
「!!」
奥からすごい綺麗な女性が出てきて
「ママいつものねー」
「ハイハーイ」
まさかあのボサボサの髪のママ?
娘二人も出勤してきて
3ヶ月前からは想像できないぐらい
見違えてて
「以前も来てくれましたよね?」
「あ、はい、」
「さくらさんのお客様のお力添えで、やっとここまで、やっとスタートラインに立てることができました」
ママの目には涙がたくさんたまっていました
私には深い事情は分からないですが
3ヶ月前のことを思うと
ここまで成し遂げたママの努力は
並大抵のことではなかったように感じました
どん底生活から
普通の生活を取り戻せた喜びが
私にも伝わり
とっても幸せな気持ちになり
パワーをたくさんもらいました
贅沢するよりも
あたりまえの普通の日常が
どれだけ幸せなことなのかと
そう思うと
私に関わってくれてる人達に
感謝の思いでいっぱいになります