男だ!
バンコクのカオサン通りは、タイの若者や各国の旅行者が集う繁華街で大阪でいうアメ村みたいな雰囲気の所。
たくさんの人が集まるから、恵んでもらおうとする住所不定無職の人がたくさんいる。
そんな彼らの中にも階級がある事を垣間見た。
だいたい彼らはコンビニ(タイはセブンイレブンばっかり)を出た所に、マクドナルドのドリンクLサイズの空き容器を構えて、まるでアイフルのくーちゃんの様な目でこちらを見てくる。
しかし、恵んでやる事がその人にとって現状の生活の解決策になるとは思えず大概はシカトしている。
コンビニでビールを買って飲みながら散歩でもしようかと、店を出た所になんか陽気なイスラエル人とスペイン人の人が飲んでたので一緒に酒を飲んでた。
近くにはお金を恵んでもらおうとする人がいたが、話が盛り上がってたので気にはならなかった。
ひと仕切り話した頃に背後に人の気配を感じたので振り返ってみると、そこには明らかに異質な人が。
くーちゃの様な愛らしさに訴えかける、とかそんなのではなく、
なんというか、、、
完璧に目の焦点が合ってなくて涎だらだらで足取りがフラフラで肌もなんか象みたいにガサガサでって人。
目は見開いて口は開いたままの表情のまま一切、表情に動きはなかった。
彼を見た瞬間、ただでさえ理解するのに精一杯だった英語での会話はもはや頭には入らず。
ずっと後ろに居られても困る。単純に、どっかに去ってくれるのなら金を払いたいが、正直きもち悪くて金を渡すのも嫌だ。おそらくその場に居た誰もが同じ気持ちになったと思う。
今まで見たどの物乞いよりも末期な状態である。しかし、末期であるが故に全く稼げていない。
そんな状態だった。
彼の登場で場が一瞬静まり帰った。
均衡を破り、彼に金を恵んでいる人物が。
誰であろう、元々コンビニ前でくーちゃんの目をして恵んでもらってた彼だった。
物乞いが物乞いに恵む。
くーちゃんはその道の先輩としてか人としてか、稼いだ金を全部あげていた。
問題の人物は若干遠慮しつつもそれを受け取り、立ち去った。
くーちゃんが男に見えた。
俺はくーちゃんに持っている小銭を全部あげた。