■ 3.11後の日本のありかた | 2030vision

■ 3.11後の日本のありかた

東日本大震災が発生してから、ビジョンの検討を中断していましたが、
6月から検討を再開したいと思います。

そこで、その第一弾として、
5月21日のCrossover21[官民協働ネットワーク] イベントで提案させていただいた、
「3.11後のにっぽんのありかた」をご紹介します。

考え方を述べただけのものですが、今後の検討の参考になれば幸いです。

基本コンセプトは以下です。

◆経済を追い求める社会から、利他共生社会にシフトしよう
 
 これまでの当プロジェクトの考え方をおさらいしているものです。

  「経済成長さえすれば」・・・という幻影を追い求めるのはそろそろ止めて、
   経済が成長しなくても、皆が幸せを感じられる社会を考えようという提案です。

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この考え方に対して以下のようなご意見をいただきました。

 【意見】経済が成長しないと財政赤字は解消できないし、医療介護など社会保障費を賄えない。
      ゆえに成長しなくても幸せな社会が得られるというのは無理がある。

   答:そのような考え方を20年も続けてきた結果が現在の財政赤字を招いています。
     一定収入の中で どうやりくりすれば良いかを考えるのが一般家庭の常識 (※1)
     国においても現実的な収支バランスが取れるビジョンを考えることが必要です。
 
   答:高齢化に伴い医療介護費用が急増するというのが厚労省の試算ですが、
     現在の制度を延長したシナリオでなく、費用が増えないような健康管理や
     医療のやり方を考えて、財政と両立させようではありませんか。

   
 【意見】豊かな時代は終わった。これまでの贅沢な生活を反省して質素を受け容れる気持ち
     が芽生えている。人と人が支え合うことの大切さ、共同体の絆も再認識された。
     ゆえに提案のような考え方に多くの人が賛同すると思う。

   答:まったくその通り。このようなコンセプトが受容できる社会になりつつある。
     一緒に考えていただき、実現に向けて協働していきましょう。


 【意見】経済が成長しないと雇用が生まれない。失業を減らすには成長がいるのでは?

   答:経済成長はたしかに雇用を生むきっかけとなります。しかし成長しなくても、
     働き方や雇用のありかたを変えれば皆が働く場を確保することができます。
     すなわち、労働時間を減らして雇用する人を増やすとか、労働分配率を高めて
     より多くの人に場を提供するとか、コミュニティビジネスを活発にするとか、
     いろんな方法があります。 

    
 【意見】考え方は分かるが、理想だけでは変わらない。
     どうやって広めていくのか?

   答:1.草の根活動を通した皆の連携により共有の輪を広げていく。
     2.震災をきっかけに皆の意識が変わりつつある
        ⇒風化しないように、継続的に関わる場をつくっていきたい。


 【意見】3.11後でも、関東はともかく中部・関西は何も変わっていない。
     電気も今まで通り使っているし、これまでの生活を変える気もない。

   答:今後、徐々にいろんな形で影響が出てくると思う。
     また、東海地震や南海地震が起きる前に気付くことが必要だと思う
     想像力を働かせて、将来のことを考えていくことが大切。


 【質問】日本は貧困率が悪いが、なぜ再配分が進まないのか?

   答:1.税額が少ないので再配分する原資が足りない。
       また徴税制度が高所得者に有利なように変化してきた。(※2)
     2.社会保障が低所得者に手厚くない制度となっている。
       (子どもがいる家庭では、再配分後に悪化するというのが現状)

     ⇒ どういう国を目指すかという合意のもとで制度設計を変えるべき
       (これまでの制度の経歴をレビューして反省することも必要)
   
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≪参考≫
 ※1 日本の財政赤字と税収の推移

 ●歳出が増えるのに、歳入は減らしてきた    ●消費税以外は一貫して減税してきた歴史
  ~財政赤字を抑えようとする意識が希薄     ~後世につけ回しをする無責任な政治
   ⇒結果として開き続ける「ワニの口」      ~税負担は経済を冷やすという盲信 

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 ※2 累進性が低い日本の所得課税制度

 ●所得税率は1億円がピークで累進しない   

 2030vision 累進して40~50%になると思っていたのに
  なぜこうならないか?
  不思議に思われる方は以下をご覧ください
  ⇒ 内閣府税制調査会「個人所得」資料

  高所得者が有利となる減税を繰り返してきた
  日本の税制改革(改悪?)の歴史が良く判ります。  
  ~これを見て「愕然」とする人は一般庶民、
   「当然」だと思う人は金満政治家か大富豪です。



 これまでのところは、以下でももう少し詳しく述べています。
 ⇒ ”2030ビジョン”「どんな社会を目指すか」視点

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◆化石エネルギーから自然エネルギーへのシフト

 日本はエネルギーの安全保障に対する危機感が無さすぎます。
 今後、化石燃料輸入費が増大し貿易収支も赤字に転ずるリスクが高い。
 また石油だけでなく、天然ガス、石炭も、近い将来に需給ギャップが拡大し、
 これまでのような消費ができなくなる可能性が高い。
 ゆえに化石燃料が利用可能な今のうちに、再生可能なエネルギー源を確保することが急務です。

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◎ 原子力発電への依存を止めて、自然エネルギーへの転換を図ることが求められます。
 ・原発の新設は止める
 ・段階的に廃炉とし、2050年にはすべて停止

 ・日本は豊富な水資源、急峻な山と川、多くの温泉、世界第6位の海岸線の長さ、
  再生可能エネルギーの宝庫です。
 ・2050年までに自然エネルギーへの転換を図っていく


2030年を例として
具体的なイメージを描いてみましょう。

 ■ 消費エネルギーを35%減らす
   ・「総人口 10%減」&「消費エネルギー25%減」で実現

 ■ 自然エネルギーへの積極投資により化石燃料消費を半分にする
  ・太陽光、風力、小水力、バイオマス、などで 発電容量 150GWを追加する
  ・結果的にエネルギー自給率 を40%に高める
  ・原子力による発電量は半分にする (新設せず27機を廃炉とする)

 ■自然エネルギーへの直接投資額は 50~60兆円
  ・開発、サービスを含めると 総投資額 100兆円
   ⇒ 20年間で割ると、平均 5兆円/年 (需要創出)

 ■化石燃料輸入費用削減効果 (年間)
  ・10兆円(最小)~ 30兆円(最大)

 ■ 雇用創出 &経済効果
  ・2030年 5兆円~25兆円
         約 80万人


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この提案に関しては以下のようなご意見がありました。

 【意見】省エネで25%削減ということだが、産業の省エネは可能なのか?
     経済原則で動いている企業が自発的に取り組むことができるのだろうか?

  【答】:1.ISO26000[社会的責任]に真面目に取組めば持続可能性を意識した経営となる(※3)
      2.先進的企業では、すでに目標を掲げて取り組んでいる。
        (例)⇒ 『リコー』 2020年=30%削減  2050年= 87.5%削減
          ⇒ 『2050年にCO 90%削減 超長期ビジョン策定に向けて』
            (クレアン 薗田綾子さん)
      3.原油価格が上がれば企業は必然的にエネルギー消費を減らす
      4.無意味なシェア争いや同種製品の開発生産競争などを止めれば効率が大幅に向上する
        (欧州企業は異なる領域で闘うのに、日本は同じ畑で不毛な争いをし過ぎる)

 【意見】資本主義の社会では、競争を止めろといっても無理なのでは?
     例えばコンビニの24時間営業や、出店を規制することはできないと思う。

  【答】:資本主義というより、競争原理主義がそうさせている。
      90年代までは、酒屋や大規模量販店の規制があって過当競争を防いでいた。
      近年の規制緩和が、効率の悪い販売や長時間労働をもたらしている。
       ⇒社会のありようを考えて、基本から変えていけばよい
        (営業時間、労働時間や最低賃金などを定めれば、自然にバランスする)


 【意見】自然エネルギー発電はコストも高いので、こんなに導入できるか疑問。
     精査することが必要だ。

  【答】:まったくおっしゃる通りで、自然エネルギー派とそうでない人たちとで
      言っていることが真っ向から違っていて噛合わなかったのがこれまでの問題。
      ⇒生産から廃却まで含めた発電コストの正確な評価、現実的な立地条件の精査、
      発電変動に対する蓄電・スマートグリッドによる制御、などなど、
      皆が納得しうる前提を共有したうえで、将来像を考えることが大切。
      

 【意見】日本は火山の多い国なので、地熱発電のポテンシャルが高い。
     もっと地熱を活かしたら良いと思う。

  【答】:たしかに火山国だが、地熱は期待するほどのエネルギーを取り出せないと思う。
      現在54万kwだが、200万kwぐらいが限度だと思う。       
      ≪参考資料≫ ⇒『地熱発電の可能性をどう考えるか』

      地下3kmぐらいの岩盤に水を供給して熱水として、地熱を活用する
      「高温岩体発電」というのもあるが、実用化できるかどうかは未知数。
      ≪参考資料≫ 『地熱エネルギーが未来を創る

 【意見】福島第一原発の事故により反原発の声が高まっているが、一過性の現象だと思う。
     資源のない日本は、エネルギー源を原発に依存するしかないと思う。

  【答】:人間がつくったものに「絶対安全」というのは存在しません。
      二重三重の安全策を講じても必ず壊れる時があります。
      しかも原発トラブルが起きた時の被害が甚大であることが今回の事故で明白になった。
      地震国日本で原発の安全を保証することはできない。
      ≪参考≫ ⇒ 『原発震災
      ゆえに、脱原発は日本が持続可能であるための必要条件だと考えています。

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というようなことを、もっと深く考えていきたいと思います。

2030年に「皆が希望を持てる幸せで持続可能な社会」を実現するには
まず、将来ビジョンを共有すること。そのうえで「合理的楽観主義」で行動することです。

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「3.11後のにっぽんのありかた」についていただいたご意見を紹介します。

【ご意見】

 ◎ 私の子どもが大きくなる20年後をなんとか良い社会にできるよう一緒に考えたい。
 ◎ 共助共生を進めて実現したい。
 ◎ 社会保障改革/税制改革が必要。
 ◎ 原発をやめ、持続可能な社会のモデルを世界に発信できる国にしていきたいと思います。
 ◎ 本気でエネルギー転換を考える集団が重要(そこに少しでも参加したい)。
 ◎ 社会の将来像を考えるこはとっても大切だと思う。
 ◎ 他のいろんな団体とも一緒にビジョンを考えて共有の輪を広げていきたい。
   一緒にやりましょう!!

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みなでご一緒に考えてまいりましょう!!


Where there is a will, there is a way.

”意志のあるところに、道は拓ける”

どうぞよろしくお願いいたします。

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最後に、(※3)ISO26000のプロモーションビデオをご紹介します。



4分15秒のなかに、子どもたちの未来へのメッセージが詰まっています。

その一部をちょっとだけご紹介すると

わたしには夢がある
● いつの日にか、私たちが経済の発展と社会のシンポと環境の保護のバランスをとること
● いつの日か、責任と法の尊重が組織の大きさに拘らず、すべての種類の組織で実現されること
● 倫理と透明性が地球全体に広がること

● 子どもが他の子どもを信じあえるように、皆が信じあえるようになること
● 将来の世代への配慮が責任ある消費の習慣を生み出すこと
● 社会正義と平和で世界中が満たされるようになること

● 労働者と雇い主が平等に尊厳と権利をもつために
 すべての子どもたちの強制労働やその他の搾取から逃れ
 少年少女らが自らの潜在能力を十分に伸ばすことができるようになること
● 私たちが世界の市民として私たちの価値を認識すること

● 私たちの過去、私たちの文化、私たちの個性の価値とそして誇りを持って
 私たちの社会、私たちの地球、人類の未来を見つめること
  ・・・・・・・・
● そうなれば、生きる価値を信じる人はみんな
 その夢をかなえることができるだろう。



そういう社会を実現したいと切に願いますし、
次世代に向けての私たちの責務だとも思います。

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