母との電話を切り、車内が静かな空間に戻った。




義父に連絡か・・・。




義父は、割と豪快な性格だが、周りがよく見える人だ。




初めて会った時も、気さくに接してくれて、緊張する私に居場所を作ってくれる、そんな気遣いの出来る人である。




結婚後も何かと気にかけてくれ、孫のことも可愛がってくれている。




もちろん厳しい一面も持ち合わせていて、義兄の借金が発覚した時なんかは、取っ組み合いになるくらい激怒したと聞く。




夫は、口にこそ出さないが、義父が喜びそうなことをしたり、会話の端々で気を遣ったりと、側から見ていて義父のことを尊敬していると感じる。








そんな義父に横領のことを伝えたと知ったら、夫はどう思うだろうか・・・・・。







さすがの私も、夫に告げぬまま義父へ直接告白するのには気が引けた。





もちろん最終的には義父へ伝えるつもりではいる。





義父は生まれた時から今の地に住み、地元のことは何でも知っている上に顔も広い。





外からきた私は青年会の仕組みも、会計の仕組みも何も分からない。





だから、今回の件で相談するのは義父がベストであることは間違いない。






ただ、やはり義父へは、今すぐ言うのではなく、使い込んだ金額を確定させた後、夫を説得した上で、2人で義実家へ訪問して直接言った方が良い気がした。








取り敢えず私は、その段取りを手助けしてもらうためにも、借金のことを相談していた義母に、先に電話で伝えることにした。










義母「もしもし?usagiちゃん?どうしたの?」




夜間の電話な上、息子からでは無く、嫁からの電話だったので義母は少し緊張している感じがした。




私「お義母さん、夫くん、会計のお金をやっぱり使い込んでました。。。。」





夫が会計になってからというもの、義母には何度か不安を吐露していた。





義母「えーーーーーー!・・・いくら?」





私「本人は40万くらいって言ってるんですが、まだ何も確認出来てないんです。」





私「おそらく少なめに言ってると思います。」





義母「usagiちゃん、ごめんなさい。前の借金のことと言い、今回のことと言い。」





義母「本当に情けない。人のお金を使うことだけはしないと思っていたのに・・・・」





義母の声が少し震えているのが分かる。





私「今日中に支払わないといけないものがあったけど、残金が無くて私に白状してきました。」





私「今、そのお金を払うために外に出てきてて、まだどのくらい使いこんでいるのか確認出来ていないんです。」





私「金額が確定出来たら連絡します。お義父さんには2人で行って直接伝えたいと思っているので、その際は日程を調整してもらっても構いませんか?」





義母「分かりました。今回ばかりはお義父さんにしっかりと叱ってもらいましょう。」





義母「usagiちゃんには本当に負担をかけさせてしまってごめんなさい。いつでも連絡してくださいね。」











母と義母に状況を話すことで、自分の中で少しずつ整理がついてきた。












さて。




家に帰らなければ真顔