ATMで70,000円を振り込んだあと、車に戻り、しばらくエンジンもつけずにボーッとしていた。
戻りたくないな。
子どもたちも連れてきて、そのまま実家へ帰れば良かった。
大きな問題を抱えてしまった今、すごく親が恋しい。
両親を悲しませたくなくて夫の借金を黙っていたが、もう、どうしたら良いのか自分で冷静な判断も出来ない。
誰かに寄りかからないと心も限界だ。
スマホを手に取り母の番号を探した。
"お母さん"
そう登録されている名前を見るだけで、助けを乞いたい感情が溢れ出しそうになる。
プルルルルプルルルル・・・・
『もしもし?』
父が出た。
私「・・・あれ?お母さんは?」
父「お風呂よ。」
私「あー・・・そっか。。」
父「どうした?」
私「いや、、、うーん。」
父「・・・・ちょっと待っとけ。」
父も私の異変に気付いたのだろう。
いつもならお風呂から出たらかけ直させると言って切るのに、今日はお風呂場まで声を掛けに行ってくれた。
電話口から父と母のやり取りが聞こえる。
お風呂中に悪いことをしたな。
しばらくすると母が電話に出た。
母「もしもし?何かあったん?」
私「・・・ごめんね。」
母「どうしたの?」
涙が抑えられず、声に漏れる。
私「夫が、、青年会のお金を、、パチンコで使いこんでしまった。。」
母「・・・・usagiは何も悪くないよぉ。あんたが謝る必要はない。」
私「こんな人と結婚してごめん。」
母「そりゃあ、大事な娘をこういう状況にさせてしまってるのは辛いけど、夫くんを見抜けず嫁に出してしまったお父さんもお母さんも悪い。」
そう言って母は、「大丈夫、大丈夫」と言いながら、私が泣き止むのを待ってくれた。
親の言う、心から寄り添った
「大丈夫」
という言葉には、生まれてからこれまで何度も守られてきた。
嫁いだ後まで守られるとは、本当に親には頭が上がらない。
私が落ち着いたのを確認して、母が聞いた。
母「夫くん、いくら使いこんだの?」
私「40万とは言ってるけど、私の勘では少なく見積もって言ってると思う。」
母「お母さんもそう思う。」
私「実は、前に消費者金融から300万ほど借金してるのも発覚してて、司法書士さんに任意整理してもらった。」
母「そうかーーー。。」
母「・・・・usagiはもっと親を頼りなさい。1人で抱え込むのをやめなさい。」
私「・・・・うん。ありがとう。」
母「取り敢えず、青年会のことはお父さんもお母さんも分からないから、夫のお父さんに状況を話しなさい。」
母「usagiと孫ちゃんの行き場所はここにあるから。」
母「ここは、取り敢えずの逃げ場所でも良いし、usagiが最終的に下した逃げ場所でも良い。」
母「usagiの決断は、お母さんどれも尊重するから、いつでも帰ってきなさい。」
母と話して事が解決する訳では決してないが、
子どもたちと共に逃げれる場所がある心強さ
義父に伝えなさいという的確な指示
それだけで、これからどう動けば良いのか冷静に判断できなかった私に、前を向かせるのには十分だった