選択肢
なし
レースのカーテン越しに、岩山の上にそびえるモナコの王宮が見える。
!?なにこの部屋!!!w
それこそどこかの王宮の一室かw
コースに面したこの部屋では、まだ早朝なのにマシン独特のエンジン音が聞こえてくる。
ここは皐月さんが所有するマンション。
皐月さん!?そしてマンションなの、これ!?
「○○さん、コーヒーどうぞ」
「ありがと。‥‥ミルクたっぷり?」
「もちろん、たっぷり」
ノートパソコンのディスプレイが真っ暗になってるのを見て、仕事キリはついた?って。
「うん。‥ごめんなさい、全然遊びにいけなかったね」
すでにレース最終日。
主人公達の滞在も今日が最後なのに、今日まで何だかんだと仕事に追われてしまった。
「面白かったよ」
「え?」
「取材のときは知ってるけど、文章書いてるときのキミをあまり見たことがなかったから、新鮮だった」
千早さんが笑いながらブラックコーヒーを飲む。
「‥‥ずるい。私も、千早さんのいつもと違うところが見たいのに」
「そうかな。キミと一緒にいると、僕らしくないことばっかりしてる気がするけど」
「そんなことないよ。千早さんはいつも優しくて、不思議で‥」
「ふふ、そう言ってもらえるとうれしいね。でも男は時には狼にもなるから気をつけるんだよ」
抵抗する間もなく、千早さんにベッドに押し倒される。
キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!!!
「ち、千早さ‥‥んっ‥」
少し強引に唇をふさがれる。
さっきまで飲んでいたコーヒーの苦味がかすかに口の中に広がり‥
徐々に激しいキスへと変わるにつれ、とても甘くなっていく‥
千早さんは唇を離すと、優しく微笑んだ。
「‥今の千早さんは狼なの?」
「それはヒミツ。でも、狼は夜行性だしね。楽しみは後に取っておかないと」
「もう‥」
そんなこといって!そういうシーンになったらものの三文章くらいで終わるんだろー!!(/TДT)/←
そして場面代わりレース前のノエルさんのインタビュー。
そっけなく言って後のインタビューは今夜のパーティで受けるからって作業に戻っていった。
モナコのレースは道幅が狭く、直線コースが他のコースに比べて少なくて、だからテクニックもマシンのコンディションもすごく大切らしい。
一緒に同行したカメラマンはF1好きらしく、喜び勇んで駆けて行った。
千早さんたちど合流しようと観戦用のクルーザーへと向かう。
でもすごい人の数で、千早さんに電話しようとしたら、背の高い黒服の男性に思いっきりぶつかった。
何事かと思ったら、いつの間にかバッグがない。
(ちょっ‥盗まれた!?)
携帯電話を握り締め、猛然と立ち上がると、ぶつかってきた男を確認した。
猛然と‥!ヘ(゚∀゚*)ノw
この人ごみもあってなかなか抜け出せずにおろおろしている。
くるりと振り向いてこちらを見た彼の顔には、ひょっとこのお面。
やっぱあれ、伏線だったのかw
(うそ、ヨーロッパで暗躍してるとかいう『ひょっとこ軍団』の人!?)
(どうしよう?取り返したいけど、あんな気持ち悪い人、絶対に近寄りたくないよ!)
ちょwひどいww
(でも、あれには仕事道具が‥)
パニックになりそうになりながら、千早さんに電話してみることに。
すぐに電話に出てくれて、事情を説明するんだけど‥‥ここにいない人に説明してもしょうがないじゃないかー!!w
ってことで自分で解決するっていう主人公だけど‥
「何を言ってるんだい。約束したじゃないか。一緒にどんなことでも乗り越えていくんでしょ?」
ふわりと背中から抱きしめられた。
「千早さん!?」
「やっぱ○○さんといると退屈しないね。毎日が楽しいよ」
「いや、今はそんなことよりひょっとこが!」
全くだw今褒めちぎってる場合じゃないww
千早さんは反撃開始だと言い、近くにいた日本人の老夫婦の杖を借りひょっとこに向かっていく。
にべもなく襲い掛かってきたので、杖を相手の胴に入れてやったw
「くそ、なんだこいつは!おい、みんなちょっと来い!」
ちょ!マジで気持ち悪っ!!∑(-x-;)
「うわ、ほんとに見た目もひょっとこになっちゃった!てか人数増えちゃった!どうしよう」
つか、目立つんじゃないの?これ。
「ほんとだー。噂には聞いてたけど、何でモナコでひょっとこなんだろうね。日本のイメージが悪くなっちゃうよ」
未来くん!!
「み、未来くん、何でここに?あ、それより千早さんを助けに行かなくちゃ」
駆け出そうとする主人公の腕をつかんで、未来くんが制する。
「今僕らが行くと、千早さんの邪魔になっちゃうからダメ」
「そんなこと言ったってあの人数だし。助けにいかないと‥」
「千早さんは大丈夫だって。すぐに終わるから、ゆっくり見てようよ。ね!」
見れば、千早さんは舞を踊るように相手の攻撃をかわして、二人の男に胴と面を食らわせていた。
男たちはあっけなくその場に崩れ落ち、周囲で見ていた人達から歓声が沸いた。
「ち、千早さんて‥」
「知らなかった?千早さんて剣道すごいんだよ。スイスの学校でも有名だったし」
マジで!?
「スイスではほとんど負けなしくらいの強さだったんだよ。千早さんにとって剣道はただの趣味みたいなものだったから、今はやってないみたいだけどね。でも、たぶん今でも相当強いと思うよ」
ひょっとこ三人組は警察に引き取られ、事情を説明し終えた千早さんが戻ってきた。
バックを取り返してきたよと笑うんだけど、主人公は呆気に取られてる。
「どうしたの?」
「あっ、ち、違うの。さっき、なんかすごくカッコよかったから‥」
「‥‥うん?惚れ直した?」
得意げな顔がちょっと悔しい~!!!!!!(´□`。)
「えと、そ、そうだね」
「それはよかった。久しぶりにやったから、上手く出来てるかどうか不安だったんだけど」
すると、隣で杖を借りたおじいさんが拍手してくれた。
若い頃を思い出したんだってw
「ほんと、すごい迫力だったわ。お嬢さんもこんな強い方と付き合えて幸せね。二人ともお似合いだし、これからも末永く仲良くね」
「ありがとうございます」
(末永く、か‥‥)
「どうしたの?もしかして、さっき怪我した?」
「あっ、ううん。そうじゃなくてね‥‥」
(私たちも、あんなふうにずっと仲良くいられたらいいなあって思うけど、こういうのって重たいかな‥‥?)
「‥‥〇〇さん?ほら、思ってること、言って?」
見透かしたような笑みを浮かべるなあっ!!!w
頬が熱くなったような気がして、頬を見られないようにそむけた。
「‥‥あれくらい長い間、好きな人と仲良く一緒にいられたら、幸せだろうなと思って」
しばらくの沈黙。
(や、やっぱりマズかったのかな‥??)
おそるおそる顔を上げてみると、彼は笑みを浮かべて主人公を見ていた。
「奇遇だね。僕たち、同じこと考えてたみたいだよ?」
「そうなの?だったらこれからも大丈夫かな。そういえば今朝言ってた、千早さんの違った一面が見れたよ」
「‥‥ああ、そういえばそうだね」
「学生時代の千早さんも見てみたかったな」
「‥‥キミ、未来に何か聞いたでしょう」
「それは内緒です」
そういえば、未来くんは?
「ふうん?その言葉、今夜後悔するよ?」
「なっ、何するつもりですか‥‥」
「それは秘密。でも、今までに経験したことないようなことかもね」
なんとっ!!ぜひぜひ後悔させてください~っ!!!(・∀・)/
「お二人さん、いちゃつきたい気持ちはわかるけど、もうそろそろ行かないとレース始まっちゃうよ 」
未来くん、いたのか!
空気呼んで先に戻ったのかと思ったw
返事をして千早さんと手を繋ぎながら走り出した。
(きっとこの一瞬も、一生忘れない宝物になるんだろうな‥‥)
真っ青な空の下、華奢なようで大きな千早さんの背中を見ながら、そう思った。

