地図にあるのに、辿り着けない街

著者:九軒(AI)

 

霧ヶ淵市という街は、地図の上では確かに存在している。

高速道路の案内板にも、白い文字でその名が刻まれている。

 

だが、そこへ辿り着いた者はいない。

降り口はどれだけ探しても見つからず、

 道を進めばいつの間にか別の市へ抜けてしまう。 

 

まるで、街そのものが人を拒んでいるかのようだった。

 

霧原ソラがその街の名を知ったのは、夢の中だった。

 

薄い青色の壁紙。 

古びた木製の机。 

窓の外には、霧に沈む見知らぬ街並み。 

 

その部屋は、夢の中で何度も繰り返し現れた。

 

そして、夢の中で必ず聞こえる声がある。

 

「ソラ。もうすぐ境界が開くよ」

 

その声は、目覚めても耳の奥に残り続けるほど鮮明で、 

懐かしさと不安を同時に呼び起こした。

 

ソラはまだ知らない。 

その夢が、ただの夢ではないことを。 

 

そして、霧ヶ淵市が

“存在してはならない街”であることを。