「 いい子

   だったのかもしれない 」



煙が少し薄くなってきた頃

そんな言葉が浮かんだ



でもそれは

褒め言葉のようでいて

どこか違う気もした


いい子 って  なんだろう


空気を読むこと

場を乱さないこと

話が分からなくても頷くこと


自分が悪いことにして

丸く収めること


それは優しさだと思っていた


でももしかしたら

波風を立てないための技術


自分を守るための方法


その場を生き延びるための最適解



私はずっと

賢くなかったわけじゃない


弱かったわけでもない


ただその場で


一番安全な形を選び続けていた

だけかもしれない


「私が足りない」

と思うことで関係は壊れなかった



でもその代わりに

自分の評価が少しずつ削れていった


いい子の正体は

優しさと

生存本能の混ざったもの


悪者ではなかった


ただ

長く使いすぎただけ


いまその役目は

終わってもいいのかもしれない