新しくなったレジが入った頃
「 機械は苦手だから 」と
ポイントカードを投げるように渡し 顎で人を動かす人が少しずつ増えてきました
私は 私がいない時のことを思って できるだけ言葉で伝えて 機械に慣れてもらうスタンスを変えずにいました
「 なぜやらないんだ 」と
怒られることも多かったけれど
「 慣れてくね 」と
一緒に頑張る人も 少しだけいました
仲良しのおばあちゃんは
その一人でした
腰も曲がっていて
歩くのも大変そうで
私は手伝うつもりでいたのに
おばあちゃんはこう言いました
「 自分でやりたいのよ
だから何度も聞くけど教えて 」
その姿が
かっこよくて尊敬でした
おばあちゃが機械には慣れたけれど だんだん とレジの高さがつらくなって 自分でできない日が増えていきました
そして 会うたびに
他愛もない話をしました
ある日
私が仕事を休んだ後に出勤すると おばあちゃんは私の顔を見て 顔を隠して泣きました
「 会えてよかった 」 と
その姿に こちらが驚いてしまいました
そして 別れが来ました
一人暮らしを続けていたおばあちゃんが 娘さん家族と同居することになったのです
寂しいより先に
私は ほっとしていました
「 ずっと笑って過ごしてよ 」
「立春が最後の日になったのだから 来年の豆まきの時に私を思い出してくれたら嬉しいな でも、鬼は外で私を思い出したら泣くからね」
「本当、あんた面白いね
なかなか気が合う人なんていないよ」
「大丈夫 おばあちゃんは この店のアイドルだから どこへ行っても一緒」 と言うと
「顔をじっくり見せなさいよ」
と また泣いてくれました
その時の私は
仕事でもあって元気でした
でも 落ち着いた今
やっぱり少し寂しいです
ソフィア