更新料の相場(東京地方裁判所平成30年2月28日判決、判例秘書搭載)

 

 更新料支払義務につき、契約書等において更新料支払の明示の合意がある場合のみ発生し、商慣習などによっては発生しないとされます。また仮に契約書等に更新料支払に関する記載があっても、その基準や要件が不明確であれば支払義務を否定できる可能性があるともされています。ただ、実際の事件では、仮に「更新料が認められる場合」にいくらになるのかは気になるところです。本判決は、更新料額の鑑定が行われ、その鑑定結果どおりの判決が出ただけの事例ですので、法理論としての汎用性に欠けますが、一つの相場感として参照いただくため紹介します。

 

 本件では更新料額の鑑定が採用されています。同鑑定は、土地(更地)価格を1億3600万円とした上で、その更新料額を土地更地価格の2.5%の340万円としており、これがそのまま判決となっています(原告請求額600万円)。判決では、この鑑定結果の正当性を補足する事情として、①東京都内における更新料の相場について、更地価格の2~3%のケースが多いと言われていること、②前回の更新の際の和解における更新料額も更地価格の約2.55%だったこと、③杉並区の住宅地域における更新料額は、月額地代の50か月弱~100か月超であること、④杉並区の住宅地域における更新料の坪単価は、1坪当たり2万2000円~7万5000円程度のものが多いことなどを挙げています。②~④の要件は、根拠も明確ではなく幅も広いため使いにくい要件ですが、個人的な経験として、土地更地価格の5~10%の更新料を請求される事案を多く経験していることから、そういった事案での交渉材料として、上記「更地価格の2.5%(2~3%)」を持ち出すメリットはあるかもしれません。

 

 もっとも、この裁判例は、前提として更新料支払義務の有無の争点の判断に際し、「従前の本件賃貸借契約の内容としての更新料合意は、本件更新の前後を通じ一貫して有効性を保持している」として、前回の更新の際の更新料の支払の事実を、今回の更新料の支払義務を肯定する根拠としているという点で不当な判断をしており、裁判例としては使いにくいところはあります。(弁護士 西田穣)(東京借地借家人新聞3月号掲載)