住まいの貧困ネットワークと首都圏青年ユニオンが3月6日、都内で会見。3月14日に新宿駅東口で実施予定の「家賃高すぎ。なんとかしろ!デモ」に先立ち、家賃高騰の実態と住宅政策の問題点を訴えた。

「外国人に責任を押しつけても解決しない」

基調報告を行った高崎経済大学の佐藤和宏准教授は、まず長期的な視点で問題を整理した。

可処分所得に占める住居費の負担率は1989年の9.7%から2019年には13.1%へと、30年にわたり、ほぼ右肩上がりで上昇を続けている。「家賃上昇は長期的なトレンドの延長線上にあり、ここ2、3年で高騰したものではない」と佐藤氏は説明する。

そのうえで、名古屋を除く主要都市(札幌市・仙台市・さいたま市・千葉市・東京都区部・横浜市・大阪市・福岡市)では、2023年からの2年間でアフォーダビリティ(住宅費負担の度合い)が悪化していると指摘した。

新築分譲マンションの平均価格も東京23区では1億3813万円(2025年)に達しており、平均年収の約18倍に上る。住宅金融支援機構の「2021年度フラット35利用者調査」によれば、新築マンションの購入目安となる「年収倍率」は全国平均ながら7.2倍で、2.5倍もの開きとなっている。

佐藤氏は「建築関連の資材費の高騰などにより、住宅価格の上昇が進んだことにより、従来持ち家を買っていたような層も、賃貸市場に流入し、その結果家賃があがっているのではないか」と推測した。

加えて「外国人が住む場所を奪っている」との言説があるが、それについては、3大都市圏への日本人転入超過が約11万人なのに対し外国人は約8900人にとどまる点や、新築マンション取得が東京23区で3.5%にすぎなかった点を挙げ、「外国人に責任を押しつけても解決しない」と退けた。

「10年以上頑張って働いてきたのに、生活が立ち行かなくなった」

この日の会見には家賃の値上げに苦しむ当事者も出席。

大手企業のコールセンターで10年以上勤務した末に派遣切りに遭ったというAさん(50代男性)は、月収約30万円が失業手当の約18万円に急減し、直後に賃貸の更新時期と重なり家賃が値上げされたという。

1DK・19平米のユニットバス付きで月額約8万円。設備の更新はないまま、値上げの通知だけが届いたという。すきま風や騒音に悩まされるが、同じ新宿区内では同条件でさらに高い物件しか見つからない。

「10年以上頑張って働いてきたのに、派遣切りに遭った途端に生活が立ち行かなくなった。失業手当だけで暮らせというのは、持ち家の人を前提にした制度ではないか」とAさんは訴えた。

一方、埼玉県在住のCさん(30代女性)は、勤めていた会社でのパワハラが原因で精神疾患を発症し、生活保護を受給している。

転居先を探す際、複数の不動産会社から「精神疾患で生活保護の方はお断り」と門前払いされた。

「家賃を滞納したことも、近隣トラブルを起こしたこともない。失業保険で家賃を払っていたときの自分と何が違うのか」。Cさんは悔しさをにじませた。ようやく入居できた築45年の木造アパートは断熱性能が低く、今冬は室温が氷点下まで下がった日もあったという。

「安心して病気を治せる環境が、一番ほしい」。Cさんはそう語り、属性を理由にした入居拒否を禁止する制度の整備を強く求めた。(弁護士JPニュースより)