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本当は、山本さんのように幸せそうな家庭を築いている人を、素直に羨ましいと思える自分でいたかった。

誰かの幸せを見て、心から「いいな」と言える自分でいたかった。

でも今は、自分が失ったものばかりが目に入ってしまう。

そんな自分が、嫌でした。


しばらく話をしたあと、山本さんがふと思い出したように言いました。

「そういえば、ななさん、よかったらLINE交換しませんか?」

「えっ、LINEですか?」

「うん、せっかくこうして会えたのも、何かの縁だと思うので」

山本さんは、穏やかな笑顔を浮かべました。


「佐藤さんとのことで、まだつらいこともあると思うし、私でよければいつでも話を聞きますよ、ひとりで抱え込まなくてもいいからね」

思いがけない言葉でした。


こんなふうに言ってもらえるなんて。

「……ありがとうございます、そう言ってもらえるだけで、すごく心強いです」

「よかった、じゃあ交換しましょう」

わたしたちはスマホを取り出し、LINEを交換しました。


画面に表示された山本さんの名前とアイコンを見つめながら、わたしは少しだけ安心しました。

これから、つらくなったときに話を聞いてもらえる人がいる。

そう思えたことが、ありがたかったのです。


次回へ続きます。