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「今までは、ななさんに嫌われたくなくて」

「……うん」

「ちゃんとした彼氏でいなきゃって思ってた」「……」

「ななさんが会いたいって言ったら会いたいって言いたかったし、ななさんが不安そうだったら安心させてあげたかった」

「うん……」

「妊活のことも、ちゃんと一緒に考えなきゃって思ってた」

佐藤さんの声が少し震えました。

「ななさんのことが大切だったから」

その言葉が、胸に刺さりました。


大切だった。

過去形なのか。

それとも、今もなのか聞きたかった。

でも、怖くて聞けませんでした。


「でも……」佐藤さんが続けました。

「そうやって、ななさんのことを大切にしようとすればするほど、自分が苦しくなっていった」

「……」

「それに気づかないふりをしてた」

「……うん」

「大丈夫だって思ってた」

少し笑うような声。

でも、その笑いは全然笑っていませんでした。


「俺が頑張ればいいって思ってた」

わたしは何も言えませんでした。

「でも、頑張れなくなった」

その一言で、胸がズキっとなりました。 


次回へ続きます。



 


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