わたしには想像することしかできない。
でも、その苦しさの中にいた本人にとってはきっと、想像なんかでは到底足りないほど辛かったんだと思います。

わたしはスマホを胸元に置いて、しばらく目を閉じました。
すると、突然いくつかの出来事が頭の中に浮かびました。

佐藤さんのお母さん。
この前、佐藤さんのお母さんが佐藤さんにLINEを送っても未読のままだった時、お母さんは警察に連絡していた。

その時のわたしは正直、少しだけ思っていました。
「そこまでしなくても……」
大袈裟なんじゃないか。
ちょっと連絡が取れないくらいで、警察にまで連絡するなんて。
そんなふうに思っていた。


でも今、佐藤さんから聞いた話を知ったあとでは、あの時の出来事が、まったく違って見えました。
「……そういうことだったの?」
お母さんにとっては
ただLINEが返ってこない息子ではなかった。

昔、心を病んで
何もできなくなって
そして、自分の命を絶とうとしたことまである息子だった。

だから
連絡が取れないことが、普通の親よりもずっと怖かったのかもしれない。
「大袈裟なんかじゃなかったんだ……」
そう呟いた瞬間、胸がいっぱいになりました。
あの時のわたしは、お母さんの行動だけを見ていた。
でも今なら分かる。
お母さんには、お母さんにしか分からない怖さがあったんだ。


次回へ続きます。