既読がついてから、しばらく時間が経ちました。
わたしはスマホを握ったまま、じっと画面を見つめていました。
さっき送った
『今まで無理させてたなら、ごめんね』
という言葉。
本当にそう思っていました。
佐藤さんが無理をしていたのなら、わたしにも原因があったのかもしれない。
嫌われたくない。
幻滅されたくない。
頼れる彼氏でいたい。
そんな気持ちで、佐藤さんがずっと自分を作っていたのだとしたら、わたしはそのことに気付いてあげられなかった。
「……ごめんね」
誰もいない部屋で、もう一度呟きました。
すると
ヴヴッっと、スマホが震えました。
佐藤さんからです。
『ううん、ななさんが謝ることじゃないよ』
その一文を読んで、少しだけ胸が痛くなりました。そして、そのあとに続くメッセージが届きました。『今までななさんに話さなきゃ話さなきゃって思ってた』
そこで一度、文章が途切れます。
『でも、話すのが怖かった』
わたしは画面を見つめました。
何が怖いんだろう。
そう思っていると、すぐに続きが届きました。
『幻滅されるのが怖かった』
「……幻滅?」
思わず声に出しました。
佐藤さんが、そんなことを考えていたなんて。
わたしは佐藤さんに対して、頼れる人だと思っていました。
何かあれば落ち着いて話を聞いてくれる。
わたしが泣けば、そばにいてくれる。
妊娠検査薬の結果が陰性だった時も、わたしだけに背負わせないようにしてくれた。
会えなかった日だって、最後までわたしのことを気に掛けてくれた。
だからわたしは、佐藤さんは強い人なんだと思っていたのかもしれません。
でもそれは、わたしが見ていた佐藤さんの一部分だった。
『俺、二十代前半の頃に鬱病になったことがある』その文字を見た瞬間、わたしの指が止まりました。
次回へ続きます。