あれからも、何度もスマホを手に取りました。

画面をつける。

佐藤さんとのトーク画面を開く。

――未読。

やっぱり変わっていません。


「……明日の朝になったら、来るかもしれない」

そう呟いて、無理やり自分を納得させました。

今日はたまたま連絡できないだけ。


スマホを家に置いたまま出掛けているのかもしれない。

仕事がものすごく忙しくて、スマホを見る暇がないのかもしれない。

もしかしたらスマホを落としたとか、壊れたとか。考えれば、いくらでも理由は出てきます。


それなのに悪い想像だけは、勝手に膨らんでいきました。

事故に遭ったんじゃないか。

どこかで倒れているんじゃないか。

何かあったんじゃないか。

それとも――

「……わたしと連絡を取りたくないとか?」

そこまで考えた瞬間、胸がズキッとしました。


「いや……それはない」

自分に言い聞かせます。

短い間だけれど、佐藤さんのそばにいて、佐藤さんを見てきたつもりです。


妊娠検査薬の結果が陰性だった時も、わたしが泣いた時も

「ななさんだけが背負うことじゃないよ」

そう言ってくれた。

会ってない時だって、わたしのことを気遣うようなLINEばかり。

そんな佐藤さんが、何も言わずに突然わたしから離れるなんて。

わたしには、どうしても考えられませんでした。


「だったら……何で?」

答えは出ません。

スマホを握ったまま、何度もため息をつきました。


そして、もう一つ考えました。

追いLINEを送ろうか。

『大丈夫?』

『何かあった?』

『連絡ないけど大丈夫かな』

文字を打っては消します。


佐藤さんが恋しい。

声が聞きたい。

何でもいいから、一言だけでも返事が欲しい。


でも、今ここで何通も送ったら、もし本当に忙しいだけだった場合、佐藤さんを困らせてしまうかもしれない。


「……やめよう」スマホを伏せました。

今は待とう。

明日の朝になれば、きっといつも通り

『おはよう』

ってLINEが来る。

そう思いたかった。

そう信じたかったんです。


次回へ続きます。