何だろう。

昨日の妊娠検査薬のこと?

今朝、生理が来たこと?

それとも、今日会えなかったこと?

まさか

「別れたい……とか?」

一瞬、そんな考えが頭をよぎりました。

自分でも嫌になるくらい、悪い方向へ考えてしまいます。


昨日、妊娠検査薬は陰性だった。

そして今日、生理が来た。

もしかしたら佐藤さんも、わたしと同じように落ち込んでいる。

もしかしたら、妊活そのものに疲れてしまったのかもしれない。

わたしが焦りすぎていると思ったのかもしれない。そんなことを考え始めると、どんどん不安になっていきます。


『どうしたの?』

恐る恐る送ります。

すぐに既読が付きました。

でも、返信は来ません。


「何……?」

スマホを握る手に、少し力が入ります。

また数十秒。


そして

ヴヴッ。

『昨日の結果のことなんだけど』

その文字を見た瞬間、胸が苦しくなりました。

やっぱり。

妊娠検査薬。

昨日、二人で見た一本線。

あの瞬間のことが、鮮明に蘇ります。


判定窓に現れた一本の線。

わたしが泣いて。

佐藤さんが背中をさすってくれて。

「また、一緒に前を向こう」

そう言ってくれた。


でも、あの時、佐藤さんは本当はどう思っていたんだろう。

わたしには見せなかっただけで、すごくショックだったんじゃないだろうか。

そんなことを考えていると、またLINEが届きました。


『今回、駄目だったからって』

そこで一度、文章が途切れます。

心臓が早くなりました。

『俺は何も変わらないからね』

その一文を見た瞬間、胸の奥がぎゅっと締めつけられました。


「……」

言葉が出ません。

スマホの画面を見つめたまま、瞬きをすることさえ忘れていました。

何も変わらない。

その言葉が、何度も頭の中を繰り返します。


わたしはいつからか、妊娠できるかどうかと、佐藤さんとの関係を重ねて考えていたのかもしれません。

今回できなかった。

だから、佐藤さんをがっかりさせた。

だから、申し訳ない。

だから、いつか嫌われてしまうかもしれない。

そんな不安を、勝手に膨らませていた。


でも佐藤さんは、妊娠できたかどうかだけで、わたしへの気持ちが変わるわけじゃないと言ってくれている。

『……本当に?』

それだけ送ります。

すると、すぐに返ってきました。

『本当だよ』

『昨日も言ったけど、今回の結果は二人で受け止めるものだから』

『ななさんだけが背負うことじゃないよ』

その文字を読んでいるうちに、涙が次々にこぼれてきました。


「もう……」誰もいない部屋で、小さく笑います。



次回へ続きます。





 

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