タイマーが鳴ってから、部屋の空気が一気に張りつめました。

テーブルの上には、静かに置かれた妊娠検査薬。

あと少し手を伸ばせば、答えが分かる。

そう思うだけで心臓が苦しくなるほど速く打ち始めます。


「見る?」

佐藤さんが小さな声で聞きました。

わたしは頷こうとしました。

……その時でした。

「あっ……」

急に、下腹部がムズムズしたような感覚が走ったんです。

「どうした?」佐藤さんが心配そうに顔をのぞき込みます。

「ごめん……なんか急にトイレ行きたくなっちゃった」

自分でも思わず苦笑い。


こんなタイミングある?

結果を見る直前だというのに、緊張のせいなのか、急に尿意を感じてしまったんです。


「行っておいで」

佐藤さんは笑いながら言いました。

「結果は逃げないから」

その一言に少しだけ肩の力が抜けます。

「すぐ戻るね」

そう言って立ち上がりました。


廊下を歩きながら、自分でも笑ってしまいます。

さっき検査したばかりなのに。

どれだけ緊張してるんだろう。

トイレへ入り、深呼吸を繰り返しました。

「落ち着け、わたし」

頬へ軽く手を当てて、もう一度大きく息を吸いました。

結果を見るまで、あと少し。

そう思った、その時でした。


――ピンポーン。

インターホンが鳴る音が聞こえました。


「え?」思わず顔を上げます。

また?

こんなタイミングで?

リビングの方から佐藤さんの足音が聞こえ、玄関へ向かっていく気配がしました。



次回へ続きます。