説明書どおりに検査を終え、わたしは静かに深呼吸をしました。

終わった。

いよいよ、ここからです。

判定が出るまで、三分。

その三分が、こんなにも長く感じるなんて思ってもいませんでした。


検査薬をそっと持ち上げます。

一人で、このまま結果を見ることもできる。

でも、そうはしたくありませんでした。

「どんな結果でも、一緒に受け止めよう」

佐藤さんが言ってくれた、あの言葉。

だから、約束どおり二人で見たい。


わたしは検査薬を大切に持ちながら、ゆっくりとトイレのドアを開けました。

ガチャ。

小さな音がして、リビングにいた佐藤さんがすぐに立ち上がります。


目が合った瞬間、お互い何も言えませんでした。「終わった?」

佐藤さんが静かに聞きます。

「うん」

それだけ答えるのが精いっぱいでした。

手には、検査薬。

佐藤さんの視線も自然とそこへ向きます。


「まだ時間あるよね?」

「うん……あと一分半くらい」

わたしはスマホでセットしたタイマーを見ながら答えました。

二人でソファへ戻りました。

テーブルの上へ、そっと検査薬を置きます。

判定窓を見えないように、上からティッシュを掛けて。

説明書には、判定まで三分待つように書かれていました。


「ちゃんと待とう」

佐藤さんが言います。

「うん」

そう返事をしたものの、気になって仕方ありません。

目線は何度も検査薬へ向かってしまいます。

「まだ見ちゃダメ」

自分へ言い聞かせながら、お茶を飲もうとしました。

でも、カップを持つ手まで震えていました。


「大丈夫?」

「自分でも笑っちゃうくらい緊張してる」

そう言うと、佐藤さんは小さく笑います。

「俺も同じ」

「本当に?」

「うん。平気そうに見える?」

「ちょっとだけ」

「実は全然」

そう言って照れ笑いを浮かべる佐藤さんを見て、少しだけ心が軽くなりました。


次回へ続きます。