検査薬を買ってから、数日。

あの日、佐藤さんのバッグへ入れた小さな箱のことが、頭から離れませんでした。


今頃、佐藤さんのお家のどこに置いてあるんだろう。

引き出しの中かな。

棚の上かな。

そんなことまで想像してしまう自分に、思わず苦笑いしてしまいます。


検査できる日まで、あと一日。

ここまで長かったような、あっという間だったような、不思議な時間でした。

仕事をしていても集中できず、気付けばカレンダーを見てしまいます。


「明日か……」

その四文字を心の中で何度も繰り返していました。もし陽性だったら。

もし陰性だったら。

考え始めると、どちらの未来も想像してしまいます。


そんなことを考えていると、夕方、佐藤さんからメッセージが届きました。

「明日、仕事終わったらそのままうち来てね」

画面を見つめたまま、胸がドキッと鳴ります。

ついに、その日が来る。


「うん」

短く返事を送るだけなのに、指が少し震えていました。

すぐに返信が届きます。

「検査薬、ちゃんと預かってるから」

その一文を見た瞬間、胸が熱くなりました。


この前の気分転換デートの時に

「俺が持っておくよ」

そう言って、大切そうにバッグへしまってくれた。


一人だったら、きっと家に帰って何度も箱を取り出しては眺めていたと思います。

「まだ早い」

そう自分に言い聞かせながらも、我慢できなくなっていたかもしれない。


でも、検査薬は今、佐藤さんのお家。

だからこそ、ここまで待つことができました。



次回へ続きます。