レジを終えて、ドラッグストアを出た瞬間、外の空気が、少しだけ冷たく感じました。
たった数分の買い物だったはずなのに、なぜかすごく長い時間を過ごしたような気がします。
佐藤さんの家で使うからと、妊娠検査薬は佐藤さんのバッグに入れて持ち帰ることにしてくれました。
妊娠検査薬。
わたしにとっては「ただの商品」ではありませんでした。
ここまでの時間が、全部詰まっているような気がしたんです。
排卵日を気にして。
少しの体調変化に期待して。
検索しては一喜一憂して。
「もしかしたら」
という希望と
「もし違ったら」
という不安の間を、何度も行ったり来たりしてきました。
その答えを知るためのものが、今ある。
そう思うと、嬉しいような、怖いような。
不思議な気持ちでした。
「なんか……買っちゃったね」
駅へ向かって歩きながら、わたしがぽつりと言うと、佐藤さんが隣で笑いました。
「うん」
「なんかすごく緊張する」
「買っただけなのに?」
「うん。だって……これで結果が分かるんだよ?」
そう言うと、佐藤さんは少しだけ真剣な顔になります。
「そうだね」
「怖い」
正直に言葉にすると、胸の奥にあった不安が少しだけ外へ出た気がしました。
期待しているからこそ怖い。
願っているからこそ、もし叶わなかった時のことを考えてしまう。
41歳という年齢のことも、ずっと頭の片隅にあります。
周りと比べて焦ってしまうこともある。
もっと早く出会えていたら。
もっと早く妊活を始めていたら。
そんな
「もしも」
を考えてしまう日もありました。
次回へ続きます。