その日の夜。

佐藤さんから電話がかかってきました。

「今日も検索しちゃった?」

電話に出るなり、そう言われて思わず笑ってしまいます。


「……なんで分かったの?」

「声で分かる」

「そんなに分かりやすい?」

「うん、すごく分かりやすい」

そう言って笑う佐藤さん。


「今日は何を検索したの?」

「言わない」

「また着床症状?」

「……」

「図星?」

「図星です」

そう答えると、電話の向こうで優しい笑い声が聞こえました。

「ななさんらしいね」

「だって気になるんだもん」

「俺も気になるよ」


少し間を置いて、佐藤さんは穏やかに続けます。「でもね」

「うん?」

「今は待つしかない時間だから」

「分かってる」

「だから、一緒に普通に過ごそう」


その言葉を聞いて、お姉さんのお家から帰る途中に言ってくれたことを思い出しました。

「一人じゃない」

その言葉は、何度聞いても安心できます。

「検査の日が来たら、一緒に確認しよう」

「うん」

「どんな結果でも、一人では見なくていいから」

その優しい言葉に、胸がじんわり温かくなりました。

わたしはもう、一人で不安を抱え込まなくていい。


期待も、不安も、全部二人で分け合えばいい。

そう思えたんです。


電話を切ったあと、窓の外を見ると、夜空には星がいくつか輝いていました。

わたしは静かに手を合わせます。

どうか。

どうか、小さな奇跡が起きていますように。

そう願いながら、検査の日まで、あと少し。

ソワソワした毎日は、まだ続きそうです。


次回へ続きます。




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