……その一言で、時間が止まったような気がしました。

胸がドクンと鳴ります。

素敵なお父さんとお母さん。

その言葉が、何度も頭の中で繰り返されました。


わたしは今、妊活中です。

排卵日に合わせて、初めてシリンジ法も試しました。

検査できる日を、毎日そわそわしながら待っています。

でも、そのことは、お姉さんたちは知りません。


知らないからこそ、何気なく言った言葉。

悪気なんて、もちろんありません。

それでも、その一言は胸の奥へまっすぐ届きました。


「そうなれたらいいですね」

精一杯笑顔を作って答えました。

でも、本当は心の中で何度も願っていました。

──そうなりたい。

誰よりも、そうなりたい。

佐藤さんとの子どもを抱いて、この温かい家族の輪の中で笑っていたい。

そんな未来を、わたしは何度も思い描いているんです。


隣を見ると、貴将さんも優しく笑っていました。

その笑顔を見ているだけで、少しだけ救われます。きっと、この人も同じ未来を願ってくれている。

そう思えたからです。


嬉しい言葉だったはずなのに。

胸がいっぱいになって、少しだけ涙が出そうになりました。

期待したい。

でも、期待しすぎるのは怖い。

そんな複雑な気持ちを隠すように、わたしは温かいお茶を一口飲みました。

湯気で少しだけ潤んだ目をごまかしながら。


次回へ続きます。