数分後。
両手に大きなアルバムを抱えて戻ってきました。
「これ見せたかったの!
この前実家行った時に持ってきちゃった」
テーブルへドン、と置かれたアルバムは、何冊もあります。
「えぇ……」
佐藤さんが少し嫌そうな顔をしました。
「姉ちゃん、それ出すの?」
「もちろん!」
お姉さんはニヤリと笑います。
「ななさん、貴将の小さい頃、見たくない?」
その言葉に、思わず笑ってしまいました。
「見たいです」
そう答えると
「ほらー!」
お姉さんは嬉しそうにアルバムを開きます。
一枚目には、生まれたばかりの赤ちゃん。
「これが貴将」
「えっ、可愛い!」
思わず声が出ました。
ふっくらしたほっぺ。
眠そうな顔。
今の佐藤さんからは想像できないくらい、小さな赤ちゃんです。
「やめてよ、恥ずかしいって」
本人は苦笑いしています。
でも、お姉さんは止まりません。
「これは保育園の運動会」
「これは七五三」
「これは小学校の入学式」
ページをめくるたびに、小さな佐藤さんが少しずつ成長していきます。
「本当に面影ありますね」
わたしがそう言うと
「でしょ?」
お姉さんは嬉しそうに頷きました。
その時でした。
海斗君がアルバムをのぞき込みながら言います。「ママ、この赤ちゃん、貴将おじちゃん?」
「そうだよ」
「ちっちゃーい!」
みんなが笑います。
その笑い声を聞きながら、わたしはアルバムを見つめていました。
当たり前だけれど佐藤さんにも、こんな小さな頃があったんだ。
お姉さんも、お義兄さんも、この子たちも。
家族みんなに、それぞれ積み重ねてきた時間がある。
そして、そんな大切な思い出の中に、今日、わたしも少しだけ入れてもらえている。
そう思うと、とても嬉しくなりました。
でも同時に、胸の奥が少しだけ切なくもなります。いつか…。
いつか、わたしたちにも、こんなアルバムが増えていく日が来るのかな。
赤ちゃんが生まれて、初めて笑って、初めて歩いて。
そんな一枚一枚を残していける未来があったら…。
そう考えた瞬間、胸がぎゅっと締めつけられました。
今まさに妊活中だからこそ、その未来を想像してしまう。
期待したい気持ちと、不安な気持ちが入り混じって、思わずアルバムから目をそらしたのでした。
その時、お姉さんが笑いながらもう一冊のアルバムを取り出します。
「こっちはね、貴将の高校時代!」
「ちょっ、姉ちゃん!それだけはやめて!」
慌てて止めようとする佐藤さん。
その様子を見て、みんなが大笑い。
さて…。
このアルバムには、一体どんな写真が残っているのでしょうか。
次回へ続きます。