すると電話の向こうで、佐藤さんもクスッと笑います。

「まだ早いよ」

「分かってるよ」

「でも気になるんだもん」

そう言うと

「俺も気になるよ」

佐藤さんは優しく答えました。

「でもさ」

「うん?」

「今検査して陰性だったら、必要以上に落ち込んじゃうでしょ?」

その言葉に、何も言い返せませんでした。

その通りだからです。


もしフライングして陰性だったら。

「やっぱりダメだった」

そう思い込んでしまうかもしれない。

でも実際は、まだ早すぎるだけかもしれない。


頭では分かっているんです。

それでも、知りたい。

少しでも早く結果を知りたい。

そんな気持ちが抑えられませんでした。


「あと少しだけ我慢しよう」

佐藤さんは穏やかな声で続けます。

「一緒に待とう」

その一言で、不思議と少しだけ気持ちが落ち着きました。


一人だったら、きっと我慢できなかったと思います。

ドラッグストアへ行って、検査薬を買って。

誰にも言わずに、一人でフライングしていたかもしれない。


でも今は違う。

わたしには、一緒に待ってくれる人がいる。

期待しすぎないようにしよう。

そう思っても、朝起きるたびに体の変化が気になります。


少し眠いだけで

「もしかして?」

なんて思ってしまう。


お腹がチクッとしただけで

「着床痛かな?」

と期待してしまう。

でも、その数時間後には

「考えすぎだよね」

と自分で自分に言い聞かせる。

そんな毎日の繰り返しでした。


妊活って、本当に心との戦いなんだな。

改めてそう感じます。

結果が出るまでの時間が、こんなにも長く感じるなんて思ってもいませんでした。


期待したい。

でも期待しすぎるのも怖い。

諦めたくない。

でも傷つくのも怖い。

そんな相反する気持ちを抱えながら、わたしは今日もカレンダーを見つめます。


検査できる日まで、あと少し。

どうか。

どうか、二人で笑える結果になりますように。


そう願わずにはいられませんでした。


次回へ続きます。