翌朝、カーテンの隙間から差し込む朝日で目が覚めました。

隣を見ると、佐藤さんはもう起きていて、わたしが目を覚ましたことに気付くと、優しく笑います。「おはよう、ななさん」

「おはよう」


昨日はいろいろなことがありました。

山本さん一家との食事会。

偶然現れた榎木さん。

そして、初めてのシリンジ法。

一日があまりにも濃すぎて、夢だったんじゃないかと思うくらいです。


「よく眠れた?」

佐藤さんが聞いてきます。

「うん、ぐっすり寝ちゃった」

「よかった」

その一言だけで、また安心してしまう自分がいました。

ベッドの中で二人並んで、ぼんやりと天井を見つめます。

急いで起きる必要もない、ゆっくり流れる朝。

そんな何気ない時間が、とても幸せでした。


しばらくすると佐藤さんが、小さく笑いながら言いました。

「昨日、頑張ったね」

その言葉に、わたしも笑ってしまいます。

「うん、初めてのことばっかりだったね」

「緊張した?」

「したよ、でも、一人じゃなかったから」

そう答えると、佐藤さんは照れくさそうに笑いました。



「俺も緊張してたよ」

「えっ?そうだったの?」

「そりゃそうでしょ、俺だって初めてなんだから」その言葉がおかしくて、二人で笑います。

昨日は緊張していたはずなのに、こうして朝になると笑い話にできている。

それが嬉しかったんです。


少し沈黙が流れたあと、わたしは佐藤さんの横顔を見ながら思いました。

この人となら、きっとこれからも大丈夫。

うまくいく日もあれば、思うようにいかない日もある。

妊活だって、簡単な道じゃない。

それでも、一緒に笑って、一緒に悩んで、一緒に前を向いてくれる人が隣にいる。

それだけで、こんなにも心強いんだ。


次回へ続きます。




 

↓休みの日の朝のパンって幸せ🥐🥨🥯🍞🥖