翌朝、目が覚めると昨夜より少しだけ気持ちが軽くなっていました。

マッチングアプリはもうありません。

裕太に連絡を取る手段もありません。


「これで良かったんだ」

そう自分に言い聞かせながら仕事へ向かいました。その日も忙しく、一日があっという間に過ぎていきます。


仕事が終わり、スマホを見ると佐藤さんからLINEが届いていました。

「今日も一日お疲れさま😊」

その優しさに、自然と笑顔になります。

「ありがとう😊佐藤さんもお疲れさま」

返信を送り、帰り道を歩いていました。


すると突然、知らない番号から電話が鳴ったんです。

普段なら知らない番号からの電話は出ません。

でも、なぜか嫌な予感がして電話に出ました。

「もしもし?」


数秒間、沈黙が流れます。

そして聞こえてきた声は⋯。

「⋯なな?」

その声を聞いた瞬間、全身が凍り付きました。


裕太でした。

「番号変えたから分からなかったでしょ」

心臓が激しく音を立てます。


どうして⋯。

マッチングアプリも消した。

裕太の電話番号も着信拒否した。

もう終わったと思っていたのに。

電話番号を変えて掛けて来られたんじゃこっちは為す術がない⋯。


裕太は少し笑いながら言いました。

「一回だけでいいから会えない?」

頭の中では

「ダメ」

と分かっていました。


佐藤さんという、わたしを大切にしてくれる人がいる。

わたしにとっても佐藤さんは大切にしたい人。


昨日、自分で前に進もうと決めたばかり。

それなのに⋯。

わたしは何も答えられず、ただスマホを握りしめていました。


次回へ続きます。