「⋯⋯今、幸せ?」
その一言なのに。
どうしてこんなに答えられないんだろう。
グラスを見つめたまま、小さく息を吐きました。「分かんない」
やっと、それだけ言えました。
Fさんは黙って続きを待ってくれます。
「今の彼氏佐藤さんって言うんだけど、本当に優しいの、大事にしてくれるし、一緒にいて安心する、未来の話もしてくれる、こんな人、もう現れないかもしれないって思うくらい」
Fさんは静かに頷いていました。
「じゃあ、幸せじゃん」
その言葉に、わたしは首を横に振ります。
「でも⋯わたし、子どもが欲しいの
早く産みたい
もう年齢も年齢だし」
そこまで言うと、胸の奥に溜まっていたものが一気にあふれてきました。
「世の中の人って、普通に結婚して、普通に子ども産んでるじゃん
それが何で、わたしにはできないんだろうって思うの
周りを見れば、みんな当たり前みたいにできてることなのに
どうしてわたしだけ⋯って」
気付けば、声が少し震えていました。
Fさんは少し考えるようにグラスを置いてから、ゆっくり口を開きます。
次回へ続きます。