誕生日が一日違い。
そんな偶然が嬉しくて、その夜はいつも以上にLINEが止まりませんでした。
「今年も来年も一緒にお祝いできたらいいね」
佐藤さんから送られてきたその一文を見て、思わず頬が緩みます。
来年。
その言葉が、とても自然に出てきたことが嬉しかったんです。
わたしは少し照れながら返信しました。
「うん😊来年も再来年も、一緒にお祝いできたら嬉しい」
送信した瞬間、自分でも少し恥ずかしくなりました。
重かったかな。
そう思ったのも束の間。
すぐに返信が届きます。
「もちろん😊その時は二人じゃなくて、家族が増えてるかもしれないね」
その一文を読んで、胸がドキッとしました。
家族。
また未来の話をしてくれた。
佐藤さんは、本当に自然に未来の中へわたしを入れてくれる。
嬉しい。
嬉しいはずなのに。
その瞬間、わたしの頭の中に浮かんだのは、さっき閉じたばかりのマッチングアプリでした。
消せなかった。
まだスマホのどこかに残っている。
佐藤さんは、こんなにも真っすぐわたしとの未来を見てくれているのに。
わたしだけが、不安から逃げ道を残している。
急に申し訳ない気持ちでいっぱいになりました。
このことを佐藤さんが知ったら、どう思うんだろう。
きっと悲しむ。
そう思うと胸が苦しくなります。
でも今さら
「実は昨日、別のマッチングアプリに登録しちゃった」
なんて言えるはずもありません。
わたしはスマホを握りしめ、小さくつぶやきました。
「ごめんね⋯」
もちろん、その声は誰にも届きません。
佐藤さんは何も知らずに
「誕生日デート、楽しみにしてる😊」
そう送ってくれています。
その優しさが、今のわたしには少しだけ眩しすぎました。
わたしは心の中で決めます。
誕生日デートが終わったらその時こそ、本当にマッチングアプリを消そう。
もう逃げ道なんていらない。
佐藤さんを信じるって、そういうことなんだから。
そう思いながらも、心のどこかではまだ不安を抱えている自分がいました。
次回へ続きます。
今回も読んでくれてありがとうございます。
