結局その夜、わたしはマッチングアプリを消すことができませんでした。


アンインストールの画面を閉じて、スマホをそっと置きます。

情けないな。

そう思いました。


佐藤さんのことは信じている。

大好きだと思っている。

それなのに、"もしもの時"のために逃げ道を残してしまう自分がいました。

そんな自分が嫌でたまりませんでした。


でも、そのあとも佐藤さんとは、いつも通りLINEを続けました。

仕事の話。

今日あった出来事。

たわいもない話。


いつも通り笑い合っているうちに、さっきまでの不安も少しずつ落ち着いていきます。

やっぱり。

わたしが話したいのは、この人なんだ。

改めてそう思いました。


そんな時、ふと思い出したんです。

そういえばわたしはこの前、誕生日だった。

佐藤さんの誕生日はいつなんだろう。

わたしは何気なく送りました。


「そういえば実はこの前誕生日だったんだ😊」

すると、すぐに返信が来ます。

「えっ!?本当に!?

知らなかった💦ごめん」

その文字を見て、思わず笑ってしまいました。


わたしは慌てて返します。

「大丈夫😊 わたしも言ってなかったし」

すると、またすぐに返信が届きました。

「それでもお祝いさせてほしい

遅くなっちゃったけど、ななさんの誕生日一緒にお祝いしたい😊」

その言葉だけで、胸がじんわり温かくなりました。


わたしは嬉しくなって返信します。

「ありがとう、ちなみに7月4日だったよ」


すると、数秒後に届いたメッセージを見て、思わず目を丸くしました。

「えっ!僕、7月5日なんだけど😊」


「えーーーー!!」

思わず声が出ました。

まさか。誕生日が一日違いなんて。

そんな偶然あるんだ。


わたしは思わず笑いながら送りました。

「じゃあ一年のうち一日だけ、佐藤さんが7歳下になる日があるんだね😊」

すると佐藤さんもすぐに

「本当だ😊その一日だけ7歳差ですね笑」

そう返してきました。

佐藤さんが急に敬語になったのが可笑しくて、たったそれだけのことなのに、わたしは画面を見つめながら笑いました。


誕生日が一日違い。

そんな小さな共通点さえ、今のわたしには特別に思えます。


「じゃあ二人まとめて誕生日祝いしよう😊」

佐藤さんからそう送られてきた時には、さっきまでマッチングアプリを消せずに悩んでいたことなんて、一瞬だけ忘れてしまうくらいやっぱりわたしが一緒に笑っていたい人は、この人なんだ。


そう改めて思えました。


次回へ続きます。

今回も読んでくれてありがとうございます。