わたしは慌てて返信します。
『えっ、どうしてですか?』
すると佐藤さんは、すぐに返してくれました。
『買うためじゃないですよ
ただ、一緒に見てみたいなって思っただけです
将来こんなの使うのかなとか、こんなの可愛いね、とか、そんな話をしながら歩けたら楽しそうだなって思って😊』
その文章を読んで、胸の奥がギュッとなりました。
嬉しい。
すごく嬉しい。
でも同時に、少し苦しかったんです。
ベビー用品。
わたしにとって、その言葉は特別でした。
四十歳。
子宮内膜症。
妊活。
未来の子どもの話は、嬉しい反面、とても怖い話でもあるんです。
期待してしまうから。
もし叶わなかった時のことまで、一緒に想像してしまうから。
わたしはスマホを見つめながら、小さく息を吐きました。
嬉しいのに。
心のどこかでブレーキを掛けてしまう自分がいました。
少し迷いました。
この気持ちは隠した方がいいのかな。
でも、佐藤さんはいつも本音で向き合ってくれる。だから、わたしも本音で返したい。
そう思いました。
『実は⋯嬉しい気持ちもあるんですが、もし授からなかったらって考えてしまうこともあるんです』
正直な気持ちでした。
送信ボタンを押したあと、少しだけ不安になります。
こんなことを言ったら困らせてしまうかな。
重いと思われるかな。
そんなことを考えていると、すぐに返信が届きました。
『それでもいいんです』
その一文を見た瞬間、思わず画面を見つめました。さらに続きます。
『授かるかどうかだけが大事なんじゃありません、僕は、ななさんと未来の話をしている時間が好きなんです😊
だから、一緒に見ながら笑えたら、それだけで十分なんです』
その言葉を読んだ瞬間、目の奥が熱くなりました。
この人は、子どもだけを見ているんじゃない。
"わたしとの未来"を見てくれている。
そう思えたんです。
気付けば涙が溢れていました。
こんなに自然に泣いたのは、いつ以来だろう。
わたしは涙を拭いて、小さく笑います。
そして、ゆっくり返信しました。
『行きたいです😊
一緒に見に行きましょう』
送信したあと、不思議なくらい心が軽くなりました。
未来は誰にも分かりません。
授かるかどうかも、今はまだ分かりません。
でも未来を一緒に想像できる人がいる。それだけで、こんなにも幸せな気持ちになれるんだと、初めて知った夜でした。
今回も読んでくれてありがとうございます。
次回へ続きます。