その日は、何だか眠れませんでした。

何度も佐藤さんとのLINEを読み返してしまいます。


『そんな女性だからこそ応援したい』

その言葉が、ずっと頭から離れませんでした。  


わたしは今まで、自分の年齢や病気のことを話すたびに、どこか申し訳ない気持ちになっていました。「普通じゃない」

「面倒な女だと思われるかもしれない」

そんなことばかり考えていたんです。


でも、佐藤さんも佐藤さんのお母さんもそうじゃなかった。

それだけで、胸の中の何かが少し軽くなった気がしました。


数日後、仕事が終わる頃に佐藤さんからLINEが届きます。

『今日、少し電話できますか?😊』

珍しいなと思いました。

いつもはLINEばかりです。


わたしは家へ帰ってから電話を掛けました。

「もしもし」

「お疲れさまです、ななさんのもしもし初めて聞きました」

佐藤さんはいつもの優しい声でそう言って少し笑いました。


少し雑談をしたあと、佐藤さんが少し真面目な声になります。

「ななさん」

「はい?」

「この前、母のことを話しましたよね」

「はい」

少し沈黙が流れました。

そして佐藤さんは、ゆっくり話し始めます。


「実は⋯父にも話しました」

少し驚きました。

「お父さんにも?」

「はい」

「最初はすごく緊張しました」

思わず笑ってしまいます。

「佐藤さんでも緊張しいっぽいですもんね」

「すごくしました」

照れ笑いする声が聞こえました。


「でも、ちゃんと全部話しました、ななさんの年齢も、妊活を考えていることも、病気のことも」

わたしは黙って聞いていました。

「父は少し黙っていました」

その言葉に、胸が締め付けられます。

やっぱり反対されたのかな。

そう思った、その時でした。

「でも最後に、お前がその人と人生を歩きたいと思ったなら、それが一番大事だって言われました」

思わず目頭が熱くなりました。


電話の向こうで佐藤さんが、小さく笑います。

「だから僕も改めて思ったんです」

「ちゃんと、ななさんと向き合っていこうって」

その言葉を聞いた瞬間、この人は、本当に覚悟を決めて付き合ってくれているんだ。

そう思いました。


わたしも、この人と同じように覚悟を持たなきゃ。そんなことを考えながら、電話を握りしめていました。


次回へ続きます。




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