数日後。
約束の日になりました。
付き合って初めてのおうちデートです。
正直、少し緊張していました。
どんな部屋なんだろうなぁとワクワクしていました。
駅に着くと、佐藤さんが迎えに来てくれていました。
「こんにちは」
少し照れたように笑います。
わたしも
「こんにちは」
と返しました。
歩きながら他愛もない話をします。
仕事のこと。
天気のこと。
スーパーで何を買ったか。
佐藤さんは緊張しているのか、わたしに気を使ってくれているのかいつもより口数が多かったです。
家へ着くと、佐藤さんは少し慌てた様子で言いました。
「散らかってたらごめんなさい」
そう言いながらドアを開けます。
部屋は思っていたよりずっと綺麗でした。
「え?十分綺麗じゃないですか」
そう言うと
「昨日、一生懸命掃除しました」
少し照れ臭そうに笑います。
その姿が何だか可愛くて、わたしまで笑ってしまいました。
キッチンでは佐藤さんが料理を始めます。
慣れない手つきで包丁を持つ姿を見ていると
「座ってゆっくりくつろいでてください」
と言われました。
わたしは素直にソファへ座ります。
しばらくして、部屋中にいい匂いが広がりました。その光景を見ながら、ふと思ったんです。
付き合うって、こういうことなんだなって。
ドキドキハラハラするだけじゃない。
そして、その時心のどこかで気付いたんです。
今日は一度も裕太のことを思い出していない。
それだけで、少し前へ進めた気がしました。
次回へ続きます。
今回も読んでくれてありがとうございます。
佐藤さんとこのまま平穏な日々が続けばいいと思いますが⋯。
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