「裕太から聞いていた話と、全然違ったんです」

わたしは何も言えません。

香織さんは静かに続けます。

「裕太は、ななさんとは終わったって言っていました」

「当たり前じゃん、これから香織と子ども育てて行くんだから」

「もう連絡も取っていないって」

「もちろん会ってもいないって」

鳥肌が立ちました。


そんな⋯⋯。

じゃあ、あの『好きだ』も。

『会いたい』も。

全部、香織さんには隠していたということ?

言葉が出ませんでした。


すると香織さんは、少し間を置いてからいいました。

「昨日、裕太のスマホに⋯⋯」

「"なな"って通知が来たんです」

心臓ヒヤッとしました。

「見ちゃいけないと思ったんです」

「でも⋯お腹に子どももいるし、不安になってしまって、ななさんと直接連絡を取りたくて、裕太のスマホのLINEページからから私のスマホのLINEページへ、ななさんのLINEのアカウントを転送しました、勝手なことしてすみません」


わたしはスマホを握りしめたまま固まっていました。

裕太は、わたしには『香織とはちゃんと向き合う』そう言っていた。

でも香織さんには、わたしの存在を隠していた。


二人とも、違う話を聞かされていたんです。

その瞬間、わたしは思いました。


また裕太に騙された。

笑笑わたしだけじゃなくてまた複数の女が。


そして香織さんは、小さく息を吐いて言いました。「ななさん」

「私たち、会って話せませんか」


わたしはしばらく無言になり考えました。


次回へ続きます。





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