わたしはしばらく画面を見つめていました。
『昨日誰と居たの?』
昨日までなら。
いや、少し前までならこんなLINEが来たら嬉しかったかもしれません。
気にしてくれている。
嫉妬してくれている。
そう思ったかもしれません。
でも今は違いました。
むしろ違和感の方が大きかったんです。
病院の日。
あれだけ不安だった日。
わたしが欲しかった言葉はくれなかった。
それなのに今になって、誰と居たの?
なんで返事くれなかったの?
そんなことばかり聞いてくる。
何なんだろう、そう思いました。
わたしは返信しませんでした。
すると数分後、また通知が来たんです。
『男?』思わずため息が出ました。
どうしてそうなるんだろう。
わたしはスマホを握りしめます。
そして初めて気付きました。
裕太はわたしが傷付いている時より、わたしが離れて行きそうな時の方が反応するんだって。
病院の結果。
子宮内膜症。
境界悪性。
そんな話には興味が薄かった。
でも、わたしが誰かと会っているかもしれない。
自分の手の届かない所へ行くかもしれない。
そう思った途端に連絡してくる。
胸の奥が少し冷えました。
もしかしたら、わたしはずっと勘違いしていたのかもしれません。
好きだから執着しているんだと思っていた。
でも違うのかもしれない。手放したくないだけなのかもしれない。
そう思った瞬間、昨日までの怒りとは違う感情が湧いてきました。
悲しさでもありません。
寂しさでもありません。
何だか急に虚しくなったんです。
そして、その時でした。
スマホがまた震えたんです。
『もしかして彼氏できた?』
その文字を見た瞬間、わたしの心臓は大きく鳴りました。
次回へ続きます。
